辛いなら薬剤師辞めれば?と言う意見

あなたが子供の頃、大人が仕事を辞めると言うのは大変大きな出来事だったと思います。それはあなたが社会人になった今も変わる事のない普遍的な事ではないでしょうか。

 

しかし最近は不況と言われながらも人手不足の時代であり、SNSの普及によりいわゆるブラック企業が明るみに出る事も多く「ストレスや過労で病んでしまったりするくらいならば仕事を辞めるのもアリ」と言う意見も大変多く目にする様になりました。それと同時に「安易に辛いなら辞めればいいと言う意見は良くない」と物議を醸す時代でもあります。

ただその様な時代になっても、未だに苦しみながら毎日朝起きて夜遅くまで仕事をこなしている人が多いのも事実であり、ブラックと言われながらも大企業の志願者が多いのも健在です。では

なぜ自らの身を犠牲にしてまで働くのか?

なぜ辛いなら辞めればいいと言う意見が物議を醸すのか?

その理由を考えていきたいと思います。

 

まず鬱になるほど辛くても仕事を続ける大きな理由の1つにこれまで積み上げてきた努力を棒に振る訳にはいかないからと言う理由があるのではないでしょうか。

 

高校時代も少しでもいい大学に入るために必死で勉強しなんとか希望の大学に合格。その後就活戦争を勝ち抜くために在学中から就職に有利に働くための活動をし、いざ就活の時期になると莫大な数のエントリーシートを書き、面接をこなし、そしてやっともらった内定。しかし当然そこで終わりではなく、今度は入社した職場でも粛々と仕事をこなし、初任給20万そこらからコツコツ上がってきた給料もまだ「途中」の段階。
30歳になる頃には結婚し世帯を持つと、今度は自分の為だけではなく家族の為に仕事を頑張らなければなりません。仮にその時の現状が「地獄の様な職場でも」です。

 

すると仕事を辞めると言う事は、自分が積み上げてきたものを自ら否定しなければなりません(もちろん実際はそんな事はありませんが)。特に手に職がない場合、つぶしが効かない職場であった場合、それまでのポストも年収もキャリアもなくなってしまいます。その葛藤と戦いながら、何とか1日1日を乗り越えているサラリーマンにとって「鬱になるくらいならば辞めれば良い」と言う意見がいかに正論だとしても「こちらも気もしらないで」と心に響かない状態であったり、無責任な第三者の意見と捉えられて物議を醸す事に繋がるのではないでしょうか。

 

では話を薬剤師で考えてみます。

 

薬剤師に対して「辛いならば辞めれば?」と言う意見を鵜呑みにする事は果たして良い事なのかについて考えていきましょう。これに対する答えとしては一般的なサラリーマンと同じと考えない方が賢明です。つまり辛いなら辞めるべきです。

なぜなら逆に薬剤師が同じ職場で我慢して働き続けても、年収の上限もポストもある程度規定路線だからです。そんな中で同じ職場で我慢し続けて働くメリットはほぼ皆無と言えます。もちろん今の職場に満足している中で無理に転職する必要性はありませんが、人間関係も悪い・待遇も悪い・常に不満があると言う状況であるならばストレスを溜めて辛い思いをしても、その見返りは少ないです。大企業のそれとは比べものになりません。

それに薬剤師の仕事は閉鎖的な職場です。常に同じメンバーで仕事をする事になりますので、もし人間関係のこじれによって病んでしまったのであれば、それを改善する方法は辞めるしかありません。話し合いで解決出来るほど簡単な話しでもないでしょう。

また、薬剤師の年収は正直安いです。他の大卒と比べても比較的低い部類にあります。しかしそんな薬剤師の最大のメリットはどこでも仕事がある事と、どこでもそれなりの給料が貰える事になります。ただ、あなたが今の立場を守るために辛い境遇に耐える事は薬剤師の最大限のメリットを放棄する事になります。

それに仮に転職したとしても薬剤師としてあなたが働いてきた経験は転職の際にも考慮されますので、転職したからと言ってゼロからのスタートにはなりません。知識としても国家試験に合格したての新人薬剤師よりもはるかに多く、これまでの経験が蓄積されているため即戦力になります。仮にあなたが今の職場で煙たがられる存在だとしても、必ずどこかであなたの存在を必要としている職場があるはずです。

それならば「辛ければ辞めたら?」と言う意見に抗う必要もないのではないでしょうか。

 

 

仮に辞めてもマイナスになる事はまずありません。また新たなスタートを切って努力する、このチャンスが何度も与えられている素晴らしい資格が薬剤師なんです。

辛かったら逃げればいい。逃げても何も失うものはありません。あなたが薬剤師として真っ当に生きていくための最大限の努力を注ぎましょう。耐えて耐えて耐え抜く事はあなたがすべき事ではありません。