世の中には薬剤師になりたくて薬剤師を目指した人もいれば、薬剤師になりたかったわけではないが取りあえず薬剤師として働いている人もいます。
それぞれ色んな思いで薬剤師として働いていると思いますが、少し困った話しになってしまうのが「薬剤師になりたかったわけではない人」が「他にやりたい事ができた」場合です。
周りから見れば「薬剤師として働けるなんて羨ましい」と思われる一方で、自分のやりたい事をやるために薬剤師を辞める勇気を持つ事は生半可な気持ちではできないと思います。
そこで今回は薬剤師を辞めて他の仕事がしたいと考えている薬剤師の悩みを見て行きたいと思います。もし薬剤師を辞めて他の仕事に心が揺らいでいる人はぜひ参考にしてみてください。
目次
薬剤師を辞めて違う仕事がしたい薬剤師Kさん
【年齢】26歳
【職場】薬局
【年収】400万円
【休み】普通
【人間関係】問題なし
【備考】転職経験なし
薬剤師になって2年。職場での仕事にも徐々に慣れだしてきた頃だが今すごく悩んでいる。
本音を言えば薬剤師を辞めたい。
その理由は本当は薬剤師ではなく他の仕事をしたいからだ。
昔からファンションに興味がありアパレル関係の職に付きたかった。
しかし両親は、この時代手に職があった方が良いという事で薬学部進学を進めてきたため、仕方なく薬学部に進学する事になり薬剤師の免許を取った。
今となっては確かに職場もどこにでもあるし、給料もそこそこ貰える仕事であるため両親には感謝している。
しかしそれでも人生一度きり。自分が後悔しないような生き方をしたいと思っている。
ただ、今薬剤師の仕事を離れる事はキャリア的な面や収入的な事を考えるとやはり二の足を踏んでしまう。
薬剤師免許を使わない仕事をする事の問題点
薬剤師が異業種に転職する時の不安は当然
薬剤師を辞めて異業種に転職する場合あなたが色んな面で不安を感じるのは自然なことです。
例えば薬剤師としてのキャリアアップにしても、大事な20代の時期を離れるわけですから同期の薬剤師との差は開く一方。それに復帰した時にも元通りに薬剤師として働けるのかと言う不安もあるでしょう。
また薬剤師ほど職場や給料が優遇されている仕事もそうはありませんが、あなたが他の職種に転職した際には給料面はもちろん、その他の労働条件等を含めての冷遇に驚愕することでしょう。
おそらく薬剤師自体以上に過酷な労働条件で給料は3分の2もらえれば御の字だと思います。
そうなると薬剤師を辞めて他の職種で働く事はデメリットは確かに大きいです。
薬剤師を辞める問題点は本当なのか
では薬剤師を辞めるとしてその問題点を考えていきましょう。
まずキャリアアップの問題ですが薬剤師が現場を1年程度離れる事は珍しいことではありません。特に女性の場合には出産・育休で仕事を離れる時期がやってくる人も多いでしょう。すると1年以上現場を離れる事も珍しい事ではありません。また続けて子供が生まれる場合などは数年間仕事をしないケースもあります。
それに仮に仕事をずっと続けていたとしても薬剤師が同じ職場で働く以上、基本的には同じことの繰り返しになりますのでキャリアアップもくそもありません。
一般的に長く勤める事がキャリアアップと思われがちですが、薬剤師にとっては必ずしも継続勤務年数がキャリアアップには繋がりませんので注意が必要です。
またもともと薬剤師免許を使わない職場、例えばMRや製薬会社の研究職の方などは現場での経験がゼロです。その様な人でも30歳を過ぎてから薬局で働く人も大勢いる訳ですから、薬剤師としてのキャリアに拘る必要もありません。
もっと言えば定年退職した後に調剤薬局で働き始める人もいる位なので、あなたにブランクがあったとしても大した問題ではありません。
そして仮に薬剤師以外の職種に付いた時の待遇ですが、確かに労働条件としては薬剤師時代に比べると厳しい面が多いでしょう。特に給料に関しては待遇としてはかなり悪くなると思います。
薬剤師の時給で言えば2000円を下回る所は逆に珍しいくらいですが、多くの職種ではいきなり給与としてこれだけの額を支払われる事はありません。
ただあなたの「薬剤師以外の仕事がやりたい」という気持ちと「お金」を天秤にかけた際に、お金の重さは決して重くはないと思います。
一般的なサラリーマンが大学を卒業して一流企業に就職して辞めるのとはわけが違います。どこでもそこそこの給料で働けるのが薬剤師の一番の強みです。またリスタートした時でも薬剤師免許がある限りお金の面で苦労する事はまずありません。
結局多くの人が薬剤師をやめる事はできない
薬剤師という安定のレールを一旦外れることは、はっきり言って大した問題ではありません。上でも挙げた通りデメリットらしいデメリットは存在しません。
ある程度薬剤師の事情を分かっている人に相談するとおそらく以下の様に返されると思います。
「最悪の場合の保険がしっかりしているからチャレンジしてみたら?」
「再度また薬剤師を再開すればいいだけの話し」
これらのあなたを肯定する意見が出るのはやはり薬剤師は安定した職業であるからです。
ただそう言われても、頭で理解していても動けない人も多いのではないでしょうか。「自分のやりたい事をやってみて、ダメならまた戻ってくればいい」という事は口では非常に簡単に言える事です。しかしいざ自分がその当事者になるとそう簡単な話しではありません。
あなたの置かれている状況、あなたの周りの人間、そしてあなた自身の気持ちを考えると他人が思っている以上に一度薬剤師から離れるというのは見えない恐怖を感じてしまうと思います。
そもそも「薬剤師は保険がきいている職業だ」という事はあなたが一番良く分かっているはずですよね。しかしどんなに保険をかけていようが、保険は保険でしかなく、やはり一度薬剤師のレールから降りると言うのはかなりのエネルギーを必要とします。
そして実際にあなたがいざどうしようと悩んだ場合、おそらく結論は出ないまま毎日を過ごす事になり、気が付くと年齢を重ねて責任も負う立場になり、身動き取れない可能性が非常に高いです。結果何もせずに自然とあきらめる事になるでしょう。
もちろんそれでもそれはあなたの人生であり、仕方のないことかもしれませんがあなたは非常に「損」をしている事になります。
それでも薬剤師は他の仕事に挑戦すべき理由
無視できない人の意見について
もしあなたが薬剤師のレールを外れて他の職業で働く事を止める人がいるとしたらそれは2つのパターンに分類されます。
1つは上辺だけ見て「損か得か」を判断されている場合です。
これ以上の安定はない薬剤師を辞める事は、第三者から見てみると「損」以外の何者でもありません。せっかく薬剤師というこれ以上にない安定した仕事に就いているのに薬剤師を辞める事は「もったいない」と思われて当然です。
そしてもう1つはあなたにできるだけ安定志向でいて欲しいと願う場合です。これは家族が思うケースが多いですが、恋人でもありがちです。せっかく立派な薬剤師という免許をいるためそれを有効活用して欲しいと思うのは自然な事かもしれません。
と言うのもこの場合はダイレクトに言えば
あなたに安定してお金を稼ぎ続けて欲しい
という事と
世間体のため薬剤師で働いて欲しい
この2つの裏返しになるからです。
つまりあなたの判断は周りの人達にも影響があるため、あなたにできるだけ「安定」の道を歩み続けて欲しい、無謀なチャレンジはしないで欲しいと思っていることでしょう。
薬剤師を辞めるコストで人生のチャレンジを買える
もしあなたが薬剤師を辞めて自分のやりたい事に専念したとします。まずは1年間薬剤師から離れるとしましょう。
その際に仮に収入が最低のゼロだとしても、これが永久に続く事もないでしょうからあなたの人生において大した金額ではありません。最悪の場合、翌年からまた薬剤師として働けばもはやその1年は「何もなかった1年」と同じです。むしろその1年はあなたにとってはかけがえのない1年になると思います。
よく「若い頃の1年は大事」と言いますが、あなたの場合は漫然と薬剤師を続ける事と、自分のやりたい事にチャレンジする事で言えば、間違いなく漫然と薬剤師の仕事をこなしながら、他の仕事がしたいと考えて何もしない方が「無駄な1年」と言えます。
これだけのメリットを棒に振る事は、あなたにとっては大損です。むしろ低コストで人生のチャレンジができると思えばこれほど良い買い物はありません。
もし今あなたが「500万円あげるから永遠に薬剤師としてだけ働いてくれ」なんて言われたらNOと言いますよね。しかしあなたが動かない限りはこれと同じことをしているようなものです。
お金が心配ならば先に稼いでおく
結局のところ、あなたが今薬剤師を辞めて他の仕事に動き出せない大きな理由は「薬剤師を辞めているブランク」ではなく「お金の問題と世間体」に着地するケースが大半なんです。
あなたの周りであなたに安定志向でいて欲しい人でも、お金と世間体の問題さえクリアできればほとんどの人があなたの考えに賛同してくれるのではないでしょうか。
繰り返しになりますが、あなたが他の仕事にチャレンジできるか否かははっきり言って「お金の問題」がクリアできれば、あなたも周りも不安は大分解消される事は間違いありません。
ではそんな時にあなたがやるべきことは
「1年お金をガッツリ稼いで1年間自由にする」
という方法をおすすめします。
今の薬剤師不足の時代では、家賃・引っ越し費用がかからず、おまけに高年収の求人もあります。
するとあなたはお金を時間で購入することが可能となるんです。
年収450万円の人が2年働く所を、年収900万円ならば1年間で稼ぐ事が可能です。もちろん厳密には税金等により多少異なりますが、時間を1年間生み出すことができます。
ですから時間をお金で買って、その浮いた時間をあなたの好きな生き方に充ててみてはいかがでしょうか。
その際には高年収(年収800万円以上)で家賃補助も出る求人を全国を対象にチェックしましょう。詳しくはこちらで紹介しています。
世間体が気になるなら最低限の時間だけ薬剤師として働く
もし絶対に薬剤師を辞める事が許されない立場の人もいるかと思います。
その場合の最後の手段として週に20時間だけ派遣薬剤師として働いてしまいましょう。もちろんパートでもOKです。
薬剤師として働いて給料を貰っていれば問題ありません。正社員かパートかは問題ではありません。文句を言われる場合には給料を伝えてあげてください。おそらく十分だと納得してもらえるはずです。
またなぜ週に20時間かと言いますと、週に20時間以上働ければ社会保険料の負担額がガクッと下がり手取りとしても高く、またそもそも派遣薬剤師は時給が高いため給料が良いのが特徴です。
ですから最低限薬剤師をやることで税金を抑えて高い給料を貰い、おまけに薬剤師を辞めていないと周りにアピールすることも可能となります。ぜひ選択肢の1つとして考えてみてください。
もしパートや派遣薬剤師として働くならば週20時間で社会保険料の加入を満たしつつ、高時給と広い求人を持っている大手2社である薬キャリとファルマスタッフを選べば間違いありませんので、最低でも1つは登録するようにしましょう。
薬剤師を辞めて違う仕事をする時は強い決心がある
世間的に楽な仕事だと言われている薬剤師であっても、当事者しか分からない苦悩があります。
ましてや薬剤師という安定した職に就いておきながら、それをいったん離脱する事に周りの納得を得られない場合もあるでしょう。
しかしそれでもあなたが「自分のやりたい事をやる」と言う選択肢を選んだ時、おそらくあなたは強い決心をしていると思います。生半可な気持ちで、興味本位だけで薬剤師の仕事を辞めて他の職種を始める訳ではないでしょうから。
そしてその決心で決めた事におそらく多少の後悔はあっても、チャレンジして良かったときっと思うはずです。
それにもしあなたが薬剤師でなかったならば、おそらくこの様なチャレンジする事のハードルは2倍・3倍高くなっていた事は間違いありません。ですからせっかく薬剤師になったのですから後悔しない様に自分の人生を全うする様に生きてください。
薬剤師免許があるからと言って薬剤師として働かないといけない理由は1%もありません。