一人薬剤師は給料が高く人間関係で悩まないで済むため一部の薬剤師で人気です。
しかし当然良い事ばかりではありません。おそらくどの一人薬剤師も「ミスが起きたらどうしよう」「トラブルが起きた時に不安」と普通の薬剤師が複数いる職場よりも人一倍不安や悩みを感じていると思います。
そこで今回は一人薬剤師の不安や苦悩を紹介したいと思います。これから一人薬剤師を考えている人はぜひ参考にしてみてください。
一人薬剤師のリアルな不安や悩み7選
調剤・監査が間違っていないか不安
一人薬剤師の一番の不安は調剤ミス・監査ミスです。2人の薬剤師の関与がないためにミスが起きてもそれをスルーしてしまう可能性があるからです。小さなミスが起きると言う事はいずれ大きなミスの可能性がある事の裏返しになりますので、一人薬剤師にとって調剤ミス・監査ミスの不安は払拭したいものです。
患者の待ち時間が気になる
一人薬剤師は患者の待ち時間が気になってしまう人も多いです。
1人さばいてもまた1人と患者が次々やってくる状況の焦りは一人薬剤師特有のものでしょう。なぜならあなたがやらないと代わりにやってくれる薬剤師はいないため、待っている患者数はダイレクトに焦りに繋がります。
昼休みも有給もないが残業はある
忙しい一人薬剤師だとお昼休憩がほぼない、定時に帰れない事は日常茶飯事です。しかし一方で残業はしっかりあると言う理不尽さがあるのも一人薬剤師の特徴と言えます。
事務ナシ完全一人のワンオペ薬剤師
一人薬剤師には事務のいない完全に一人薬剤師の職場もあります。つまり事務がいないため受け付けから会計まで全て1人でこなす必要があると言う事です。この場合、例えば2人患者が連続でやってきた時などは受付を行っていると調剤を行う事はできません。つまり上でも言った「患者が待っている状況」が生まれて焦りにも繋がってしまいます。
一人薬剤師なのに給料が大して高くない
一人薬剤師の魅力の1つである高い給料。しかし職場によっては大して高い給料でない所もあります。これでもしハードな職場ならば一人薬剤師の最大のメリットが欠けていると言っても過言ではないでしょう。
処方箋枚数が1日40枚を超える
薬剤師1人あたりの処方箋枚数は40枚と決まっていますが、あの手この手を使ってなかった事にしようとする職場も少なくありません。中には明らかに薬剤師を入れる気はないのに「募集しても来なった」としてあなた一人に負担を強いる会社もあります。
違法な薬局
一人薬剤師で仕方ないを理由に違法な事を行っている薬局も少なくありません。違法であることは言わずもがないけない事ですが、それを正当化するための一人薬剤師を盾にする職場も多いです。
一人薬剤師がミスと不安を減らすためのコツ
ではここからは一人薬剤師を行う上で少しでも業務がスムーズに、そしてミスがないようにする方法をいくつか紹介します。
できる限りの準備を行う
一人薬剤師は薬を1から集めて準備すると時間が足りない時があります。ですから事前に来局がありそうな定期薬の方の薬を準備しておきましょう。
そして発注はかなり余裕を持って行う事を推奨します。
そうなると事前に多くの在庫を抱える事になってしまいますが、そもそも1人でやっているのでその辺の融通は聞いてもらいましょう。
調剤ミスの可能性がある所を完全につぶす
おそらくどの薬局でも行われている事だと思いますが、同じ規格の薬であったり名前が似た薬がある場合にはそれぞれに注意喚起を行いましょう。
ただこれを普通の注意喚起ではなく「徹底的」に「派手」に「自分が分かりやすいよう」にカスタマイズする事をおすすめします。場合によっては自分が間違わない様に配置をゼロベースで見直すのもいいでしょう。
おそらくあなたがイチからスタートしてずっと一人薬剤師を行っているケースよりも、転職してきて一人薬剤師をやっているケースが多いと思います。すると事前に薬の配置や注意喚起が中途半端である場合も少なくありません。それらを全て自分の都合のいいように見直してみてください。使用するのは99%があなたになりますので、せっかく1人であるメリットを最大限有効活用しましょう。ヘルプの事を気遣うよりもまずは自分の事を考えましょう。
動線全てあなたが都合のいい様にゼロベースで一度見直してみてください。
監査のダブルチェックを患者と行う
基本的に事務は監査業務を行ってはいけません。しかし監査ではなくダブルチェックと言う形で助けてもらいましょう。そして患者にも服薬指導を行う際に一緒に数を数えたり規格を確認してダブルチェックをしてもらいましょう。
また患者とダブルチェックするメリットとしては同時に渡し間違いのない確認を行う事が可能となるためです。
普段から行っている人も多いかもしれませんが一人薬剤師の場合は時間がない中でもよりしっかり確認する事をおすすめします。
事務とダブルチェックを行う際に「事務とダブルチェックしてもよくスルーしてしまう」と言う声を聞きます。ではこれの対処法として薬剤師も事務も一緒に間違いそうなポイントを学んで注意喚起していきましょう。2人でそのポイントが分かっていれば対処できる確率も大幅にアップします。
患者を待たしても間違うよりはマシと考える
患者が少ない時は問題ありませんが、これが2人3人と増えていくと次第に焦ってしまい1人当たりにかける時間が短くなってしまいます。また急いでいるあまり調剤ミスや監査ミスにもつながる事があるでしょう。
しかし「一人薬剤師だから」「忙しいから」と言う理由であなたのミスは帳消しになりません。もちろんそれで患者に健康被害が生じた場合、責任を負う事になります。
ですから一人薬剤師でやっていく以上ある程度開き直ってしまう必要があります。
つまり患者を待たして仕方がない。急いでミスが起きるよりはマシ。と考えることです。
あなたが急いで行っても数分間の短縮にしかなりませんが、その数分間のミスのためにあなたも患者も取り返しの付かない事に繋がる可能性もあります。
薬剤師が無理なら事務を増やしてもらう
もし薬剤師1人・事務1人でも厳しい場合や完全にワンオペ薬剤師の場合には経営者に頼んでもう1人事務を増やしてもらいましょう。薬剤師をもう1人増やすとなると絶対に首を縦に振らない所でも事務ならばまだ可能性があります。
薬局や病院での仕事は調剤業務と服薬指導だけに限定されません。例えば薬の納品時の検品であったり、切れた備品の補充であったり、発注の電話をかけたりと名前のない仕事が意外と多いです。そしてそれをもう一人の事務が増えてフォローできるならば業務全体の負担としては軽くなります。
最悪忙しい時間帯だけのパートでも全然負担が違うますので、そこだけでもお願いしてみてください。
今の一人薬剤師の職場を辞めた方が良い境界線
取り返しのつかないミスが起きる可能性がある
一人薬剤師の職場では「どう考えても1人では無理」な職場があります。
しかし無理が故に高い給料を払ったり違法な事を行っている所もあります。ただいくら違法でもすぐに辞める事ができないのが普通だと思います。
しかし最悪あなたの薬剤師人生で取り返しの付かない後悔に繋がる可能性もあり、一人薬剤師だとそのリスクは確実に高まります。当然ながら一人薬剤師であるその職場で起きた責任はあなたになってしまいます。どれだけ忙しくてもそれは言い訳にはなりません。
ですから体力的にも精神的にも無理だと感じた場合には1~2カ月を目途に即座に辞める事を考えましょう。感覚としては辛い・限界と感じた2歩前くらいでちょうどいいです。
「人がいなくて辞めれない」とあなたは思うかもしれませんが、それはあなたが行う心配ではありません。あなたはただの雇われサラリーマンなのでその問題は経営者にゆだねましょう。
「高い給料を払っているから文句を言うな」と言われた時
経営者の中には「高い給料を払っているんだから一人薬剤師できつくても文句を言うな」と考えている人もいます。この場合はなるべく早い段階できっぱりやめると告げた方がいいです。
おそらくあなたの職場はもう1人薬剤師を高額な給料を払って雇う事も可能なはずです。しかし会社の利益を優先させて全責任を現場のあなたに押し付ける状況であれば高い給料などさっさと捨て去って他の良心的な経営者の下で働いた方があなたのためです。
繰り返しますがおそらくもう1人薬剤師を本気で雇う気はおそらくありません。つまりあなたは辞めない限りは常に全力疾走を強いられます。
「給料をやっているんだから働いて当然」「文句を言われる筋合いはない」と言わんばかりの経営者の職場は即辞めましょう。
自分の理想の薬剤師像とかけ離れていると感じた時
きれいごとで仕事をする必要はありません。しかしあなたが今の自分を客観的に見た時に、今の一人薬剤師の現状が理想としていた薬剤師像とあまりにもかけ離れている場合には辞める目安になります。
例えば調剤マシーンと化して自分が満足のいく服薬指導がどうしても時間の関係上行えない場合や数をさばくことだけが評価される場合もあるでしょう。
おそらくあなたは今の一人薬剤師の忙しい職場で働き続けているうちに、いつのまにか自分の理想としている薬剤師像すらなくなっていきます。そしてもう一度その感情を取り戻す事はできないかもしれません。
せっかく自分が持っている薬剤師像を今の職場で叶えようと精一杯努力するのも素晴らしいことだと思いますが、それをどうやっても叶いそうにない場合には辞める選択も視野に入れてみてください。
一人薬剤師をやめたい人の2つの選択肢
ただ一人薬剤師のメリットも実際多いのが事実です。
給料がいい
煩わしい人間関係に疲弊しないで済む
薬剤師としての対応力が身に付く
これらのメリットはとても魅力的です。しかし同時に辛すぎる一人薬剤師は地獄ですし、結局辞める事になってしまいます。
ですからあなたが取る選択肢は2つです。
・転職して楽な一人薬剤師を探す
・管理者経験を生かして一人薬剤師以外の職場を探す
シンプルにこの2つになります。では1つずつ紹介していきます。
転職して楽な一人薬剤師を探す
「一人薬剤師はつらくて当たり前」と思うかもしれませんが、実際には楽な一人薬剤師の職場が確実に存在します。「そんな職場が見つかれば苦労しないよ」と思う人がいるかもしれませんが、ある1つの事を実践すればいいだけです。
それはあなたが薬剤師転職サイトで紹介してもらった一人薬剤師の職場をもれなく見学に行く方法です。言ってみれば下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる作戦です。
まずあなたは薬剤師転職サイトから一人薬剤師の求人だけをピックアップしてもらいます。そして給料や休日などの条件を見て、良いと思った求人から手当たり次第に見学に行くようにしてください。「手当たり次第に」と言ってもおそらく多くて3つ程度に絞れると思いますので、まずはその3つの職場を見学させてもらってください。
「3つも見学していいものなの?」と思うかもしれませんが全く問題ありません。むしろ最低でも3つは見学しないとあなたの判断する目が育ちませんので1つでも多くの職場を見学させてもらってください。
そして実際に見学する時は以下の質問を現場の薬剤師に投げかけるようにしましょう。もしくは自身で確認してください。
定時に帰れる、ヘルプがいる、処方箋内容が重くない、処方箋枚数が少ない、休みがしっかり取れる
あとはフィーリングで良さそうと感じた職場に飛び込んでみればOKです。仮に思っていたのと違った場合は傷が浅いうちに転職しましょう。
そしてこの時の一番のポイントがどれだけ多くの一人薬剤師を紹介してもらえるかにかかっています。これを下手に「何社も薬剤師転職サイトを利用すればいいだろう」と考えて登録してしまうと電話が面倒なだけでなくダブり求人ばかりが紹介されていまいます。
ですからいかに効率よく最低限の手間で1つでも多くの求人を紹介してもらえるかがとても重要なんです。
ではこの際に選ぶべき薬剤師転職サイトは薬キャリとリクナビ薬剤師の2つを利用すればほとんどの求人を網羅できます。特に調剤薬局への転職を考えるのであればまずはこの2つだけで十分です。
転職サイトの中には一人薬剤師の求人をほとんど持っていないサイトもありますが、薬キャリとリクナビ薬剤師は一人薬剤師もしっかりカバーしており、業界トップでの2つを利用しておけば理想的な一人薬剤師を紹介してもらえます。
この2社は求人数が多いため必然的に給料が高い求人も扱う事になります。ですから「一人薬剤師で今の地獄から抜け出したい。けど給料はなるべく今を維持したい」と言う人は特にオススメの2社となります。
管理者経験を生かして一人薬剤師以外の職場を探す
あなたは一人薬剤師を経て今があるわけですから事実上管理薬剤師の経験がある事になります。
その結果あなたの薬剤師としての市場価値は最も高いステータスになっています。ですから選択肢としては「どこでもあなたが望む職場」に好条件で転職する事が可能です。
そして取りあえず働きながらでもいいので自分の市場価値を確認する作業をおすすめします。
「自分の市場価値を知るって言われても意味が分からない」と思うかもしれませんが簡単です。薬剤師転職サイトの担当者に自分の経歴を告げて高い給料の職場を教えてもらってください。それがあなたの今の市場価値になります。
今すぐに辞める必要はありません。まずは自分の市場価値を確認するため、どんな求人が自分の周りには転がっているのかを確認してはいかがでしょうか。