子育てが一段落ついたので薬剤師として現場復帰を考えている
これまで薬剤師とは関係ない仕事をしていたがこれからは薬剤師として働く
これらの中・長期間のブランクがある人がいざ薬剤師として働こうと考える際に不安は付き物だと思います。中には調剤経験がゼロの方もいる事でしょうし10年20年ブランクがある薬剤師の方もいると思います。
しかし単純に立地や年収や休みで転職してしまうとその不安は的中してしまいます。おそらくブランク明けかの薬剤師人生は長くなると思いますので、やはり最初の職場はそれなりに重要と言えます。
そこで今回はブランクがある薬剤師はどういった職場を避けて選べばいいのか、どういった職場を選ぶべきなのかと言う事について紹介したいと思います。
ブランクからの復職を考えて不安を抱えている薬剤師の方はぜひ参考にしてみてください。
目次
ブランクから復職する薬剤師が選んではいけない薬局
「調剤薬局は余裕だ」と考えない
一般的に「病院薬剤師は大変そうだ」と言うイメージがあります。転職するのも薬局⇒病院は難しいと思われています。
一方で調剤薬局は多くの人が働いているためイメージとして調剤薬局の方が病院薬剤師よりも働きやすいと思っている人もいるかもしれません。
しかしこれは間違いです。
病院と違って調剤薬局はサービス業の面が強く、入院している患者と外来で来る患者の対応は別物であると思っていいでしょう。また保険請求や各種加算の算定の判断など調剤薬局特有のスキルは病院薬剤師のそれとは異なるものになります。
これはつまり病院薬剤師だった人が「調剤薬局なら余裕だろう」と考えて転職をしてしまうと痛い目を見るという事です。
仮にあなたが病院薬剤師の経験があるのであればまずは病院薬剤師から始めるのも悪くはないと思います。
処方箋枚数が100枚を超える薬局は避ける
もし調剤薬局でブランク明けの仕事を考えている人は処方箋枚数をかなり重要しましょう。そして処方箋枚数が1日に100枚を超える職場は無条件に避けましょう。
理由としては言うまでもなく「忙しい職場」であるため丁寧に仕事を教えて貰えない、自分の勉強する余裕がない点。そしてこの1日100枚と言うのは月の処方箋枚数を稼働日数で割った平均の100枚なので日によっては150枚を超える人もある可能性も高いです。
するとはっきり言って常勤薬剤師が数名いてもかなり忙しい可能性が高いです。
処方箋枚数100枚の薬局ならば8時間営業とすると480分÷100枚で約5分に1枚処方箋がやってくる計算になります。このペースだとメインで扱う診療科にもよりますが正直かなり忙しいです。処方箋1枚に対して調剤から監査・服薬指導まで5分では厳しいため処方箋が積み重なる事もあるでしょう。
基本的にそこそこ忙しい調剤薬局でもひっきりなしに患者がやってきてゆっくりする時間がゼロという状況は稀です。1日の中でも数十分は空白の時間があり、その間に同時に疑問点があったら調べたり薬の知識を深めたりするのを業務中に行う人も多いです。
ただ1日100枚を超える薬局だとそれらの余裕がある時間は全て薬歴に回されたり業務の準備に充てる事になる場合が多いです。おまけにあなたは薬歴の記載にも時間がかかると思いますので、体感的な忙しさは他の薬剤師よりも高いと思いますし残業を余儀なくされる時もあるでしょう。
またもしあなた以外の誰かが辞めた場合には1人当たりの処方箋枚数はさらに増える事になりますのでブランク明けの薬剤師が行うには荷が重いです。
そして何より仕事が忙しいとイライラする人も少なくありませんので、できれば復帰の最初から激務の職場は避ける事をおすすめします。またこれからの時代薬剤師の必要人数はさらにシビアになっていくでしょう。
調剤併設のドラッグストアは避ける
最近増えてきている調剤併設型ドラッグストアですがこちらもブランク明けの薬剤師の職場としてはおすすめしません。
理由は2つあります。
1つはOTCの知識と調剤薬局としての知識を同時に求められるからです。ブランクが長ければ長い程薬の知識は抜けていると思いますが、ここに新たに医療用医薬品とOTCに関する知識を同時に身に付けなければなりません。特にOTCは色んな成分が複合されている薬が多いため同じ医薬品を扱う仕事でも別ジャンルと言ってもいいくらい知識の詰め込みが必要になります。
そしてもう1点は調剤併設ドラッグストアは処方箋枚数がかなり少ないという事です。さっき処方箋枚数が1日に100枚を超える調剤薬局は避けるべきと言いましたが、今度は逆に少なすぎるのもブランク明けの薬剤師には適していません。
と言うのもあなたがこれから薬剤師として働く上で調剤経験は必須になります。つまり調剤スキルはスタンダードで備わっているべきスキルです。そしてそのスキルを身に付けるには正しい知識と経験が必要になってきます。もし1日数枚しかやってこない処方箋を受けていると調剤経験を積むのにかなり時間を要してしまいます。
もちろん数をこなせばいいわけではありませんが、最低限の基礎体力を付ける必要もあることを考えるとやはり最初はそれなりの調剤経験を身に付けるべきでしょう。
ブランクがあっても薬剤師の就職は余裕で可能
ブランクあり調剤経験ゼロでも薬剤師は99%再就職可能
今の薬剤師の需要は高いです。
転職サイトを見ても「ブランクありでもOK」「調剤経験なしOK」「新卒OK」これらの甘い文言が並んでいます。おまけに年収もかなり高い求人も少なくありません。
つまりあなたが薬剤師として働く意思があるならば今ならほぼ99%就職可能になります。たとえ調剤スキルがないとしてもです。
するとあなたは無意識にこう思うはずです。
「自分には価値がある」「薬剤師の免許があって良かった」と。
しかし残念ながらあなた自身には価値はなく価値があるのはあなたが持っている薬剤師免許です。そして現場で働く他の薬剤師からすると本当に求められるのは薬剤師免許ではなく薬剤師としてスキルのある人材です。
もちろんこれまで調剤経験がなかったりブランク期間が長かったりすると薬剤師としてのスキルがないのは当然です。ただその当たり前を当たり前と思ってくれない人も世の中に「そこそこ」いることは転職活動の時から常に心のどこかに置いていく必要があります。
ブランク明け最初の職場はこれからの一歩に過ぎない
あなたが今真っ先に手に入れる必要があるのは調剤経験をゼロから1にすることです。
この1が手に入ると入らないとでは大違いです。この1があることであなたの次の転職は格段に有利になります。それは給料の面でも仕事に対する不安の面でもです。
ただ、なるべく1回で転職を完結したい、転職はなるべくしたなくないと考えますよね。また人間関係が悪かったりかなりハードな職場だったらどうしようと考える人も多いと思います。ではそんな人に後悔しない職場の探し方を紹介していきます。
ブランク明けの薬剤師はあなたを歓迎する職場で働くべし
ブランク明けの薬剤師は例えブランクがあってもあなたを迎えてくれる職場を探す必要があります。「そんな事は分かっているよ」と思う人が大半だと思いますが実はこれをおざなりにして休みや給料で決めてしまう薬剤師は本当に多いんです。
では具体的にどうすればあなたにベストな職場が見つかるのか。
最低でも4つの薬局を見学する
方法としては最低4社は実際に見学をするという事です。それも一番忙しいだろう曜日と時間を指定して見学させてもらってください。
その一番の理由は最低でも4つ見学する事であなたの客観視力が高まるからです。
基本的に見学する人は1社か2社で決めてしまいます。つまり見学はもはや確認作業でしかありません。ただはっきり言ってこれだと職場の雰囲気なんて分かりっこありません。
しかし4社も忙しい時間帯を見学すれば職場の雰囲気を完全に把握できるとは言わないまでも、4社の中から相対的にベターな職場を選択する事が可能になるからです。あなたはブランク明けの最も大切な職場を選ぶ事になります。この職場を選ぶ時に4社くらい見学する事は決して過剰とは言えないでしょう。
ただ一人で見学を4社行うのは難しいと考える人も多いと思います。そんな時に裏ワザを紹介します。それはファルマスタッフを利用する方法です。
ファルマスタッフはあなたが見学を希望する日時を伝えれば1日で2社は見学が可能です。もちろん薬局との見学日時の調整はファルマスタッフが行ってくれます。
またファルマスタッフの特徴として面接同行サービスを行っているという事。見学を1人で4社回るのは疲れてしまう人もいますが、ファルマスタッフの担当の人も一緒に来てくれますので精神的な負担はかなり軽減されます。また土地勘がない人にもおすすめです。
しっかり見学を行って職場の雰囲気を肌で感じ、もし自分が合っていなさそうな職場だと感じたら別の職場を選択してみてください。
特にブランク明けの薬剤師にとって大切な事はあなたに仕事を教えてくれたり知識をくれる同じ職場の人達です。簡単に言えば人間関係です。誰と一緒に働くかと言うのはあなたに取って最も重要な要素と言えるでしょう。ですから職場選びは十分過ぎる程情報を自分の足で集める事をお勧めします。
転職に失敗しても向いてないと考える必要なし
ブランク明けの場合不安な事だらけだと思います。勉強はどうすればいいのか、人間関係はうまくいくだろうか、薬剤師としてやっていけるだろうか・・・様々な不安を抱えてしまうでしょう。
そして「絶対に転職に失敗したくない、最低でも1年間は働く」と自分に縛りを設ける人も少なくありません。もちろんそうならないために上でも紹介した見学は絶対に必須なものになりますが、それでもやはり把握できない部分は出てきてしまいます。
でもそれは仕方ありません。
そういった時は我慢せずに転職を考えましょう。下手に「最低でも1年間はここで働かないと」等と思う必要もありません。
また「やっぱり薬剤師として働く事に向いてない」と考えてしまう人も中にはいるかもしれません。しかしそれを決めるのはまだ早すぎます。もし本当に向いていないと考えるならば一度転職して自分がそれでも向いていないかを確かめてみてください。