薬学部・薬学生

看護師と薬剤師はどちらを選ぶべき?将来性を考えても無駄な理由!

 

「将来の進路は医療系に進む」と決めて、その中で薬剤師か看護師で迷っている人もいると思います。

もしあなたが初めから「薬剤師になりたい」「看護師になりたい」と意志が固まっているのであれば話はスムーズですが問題は未だ薬剤師・看護師か悩んで結論が出ない人ですよね。

 

例えば薬剤師や看護師の将来性だったりそれぞれにかかる費用や学力も気になる所ではないでしょうか。

 

そこで今回は進路を薬学部か看護学部かで悩んでいる人にどちらを選ぶべきかを紹介していきたいと思います。

 

・少しでも将来安泰の方の職業に就きたいと考えている人

・自分は看護師薬剤師どちらに向ているのか分からない人

・看護師も薬剤師も同じくらい魅力を感じている人

・国公立の看護学校には行けそうだけど薬学部は厳しいと考える人

これらの方等はぜひ参考にしてみてください。

 

現在は薬剤師の方が看護師より安定している

今現在の安定性を客観的に評価すると看護師よりも薬剤師の方が安泰です

その理由は「給料」と「業務内容のハード具合」が目安になります。

平均年収が薬剤師の方が60万円ほど高い

薬剤師の平均年収は543.7万円(年齢39.3歳 勤続年数8.2年)

看護師の平均年収は479.9万円(年齢38.6歳 勤続年数7.6年)

参考:平成30年賃金構造基本統計調査

薬剤師と看護師の平均年収は63.8万円差があります。

 

当然ながら給料が高い=安定の絶対的な指標ではありませんが、給料は需要と供給のバランスも大きく影響しますのである程度の目安になります。

 

ただ正直な事を言えば薬剤師も看護師も給料面で言えばどちらも安定していると言って良いでしょう。また両者とも求人数も多く結婚後のパートとしての働き方も可能であることを考えるとこちらも看護師・薬剤師共に安定していると言えます。

 

肉体的・精神的な負担が軽い

肉体的・精神的な負担を考えると看護師よりも薬剤師の方が負担が軽い職場が多いです。

 

例えば最も働く人が多い職場が看護師は病院、薬剤師は調剤薬局になりますがこの2つを比べた時にまず薬剤師には夜勤がありません。最近では薬局薬剤師にも24時間体制が求められていますが、患者さんを常に病院でケアし続ける必要のある看護師の夜勤とは精神的な負担も肉体的な負担も異なります。

 

また看護師の場合は患者の死に直面する事は決して珍しい事ではありませんが、薬局薬剤師が患者の死に直面するケースは正直ほぼありません。

当然病院薬剤師として働くのであれば夜勤がある場合や患者の死に直面する事もあるかと思いますが、それらの頻度や負担を見ると看護師の方がハードと言えるでしょう。

 

これら以外にも単純な肉体的な負担や対人関係の負担を考えると看護師よりも薬剤師の方が負担が軽い部分が多いです。

 

薬剤師は学費と難関度が看護師よりも高い

では薬学部に進んで薬剤師国家試験に受かるまでと、看護学部や看護学校に進んで国家試験を受かるまでのハードルを考えてみると、これは薬剤師になるまでの方がハードルが高いです。

こちらも客観的に見ていきたいと思います。

 

薬学部の学費は看護学部より高い

まず学費から見ていきます。

そもそも薬剤師になるためには薬学部に6年間行く必要があります。かたや看護師は最も時間のかかる大学の看護学科に行ったとしても4年です。

つまりこの時点で仮に国公立大学の薬学部・看護学部へ進学したとしても2年間の開きがあり、2年分の学費の負担が生じてしまいます。

 

また薬学部の場合は私立ならば一般的に毎年200万円の学費が必要になりますので、卒業までに1200万円と6年間と言う時間が必要になります。一人暮らしをするならば生活費も必要になってきます。

 

一方の看護師は中学を卒業後に高等学校5年一貫教育のコースに進んだり、高校卒業後に看護師学校や短期大学に3年間通うことでも看護師国家試験の受験資格を得ることができます。

私立大学の看護学部こそ学費が200万円近い所もありますが、専門学校では50~150万円の学費とピンキリとなっていますがいずれにしても薬学部より遥かに安いです。

<国公立大学以外の学費の目安>

薬剤師:1000~1500万円

看護師:400~650万円

 

薬剤部に入って6年間で薬剤師になれる人は半分

「薬学部に入るのは難しい」と言うイメージは過去のもの。今では偏差値が低くても入れるいわゆるボーダーフリーの薬学部も増えてきています。

 

かたや薬剤師国家試験の難易度は平成26年から急激に上昇し、2019年度の薬剤師国家試験の合格率は70.91%。おまけにこの数字は「受かる見込みのある学生」を選別して受験させた大学も多く、つまり国家試験に合格する可能性が高くない限り進級できなかったり卒業させてくれない現象が起きているのが薬学部になっています。

ずばり言えば薬学部に入っても6年間で無事薬剤師免許を取得できる可能性はおおよそ半数です。

ある大学では100人程の入学者がいましたが国家試験をストレートで受験できたのはたった20人程度だった大学もあります。

 

では看護師の国家試験の合格率ですが、こちらは89.3%となりかなりの高水準。

おまけに薬学部ほど顕著に卒業させずに国家試験を受験させないことはありませんから、薬剤師と比べれると遥かに看護師になれるハードルは低いと言えるでしょう。

 

薬剤師と看護師どちらを目指すべきかの答え

ではここからは具体的に薬剤師・看護師どちらを選ぶべきかについて触れていきたいと思います。

安定だけを求めて選ぶと後悔する

まず初めに大事な事を言いますと安定だけを求めて薬剤師か看護師かを決めるのは注意が必要です。

おそらく「安定」の定義としては「働く場所がどこにでもあってなおかつそこそこの給料を貰える」と言った認識の方が多いかと思いますが、将来的な薬剤師と看護師の将来性などははっきり言って分からないからです。

 

と言うのも未だに「給料が高くどこでも働ける」と言われる薬剤師ですが、10年以上前から「薬剤師は飽和する」と言われ続けています。しかし今なお薬剤師不足の地域も多いです。

 

一方の絶対安泰と言われる看護師ですら看護学校の乱立によってここ10年間で看護師国家試験の合格者数が約1万人増加しています。ちなみに1万人と言えば薬剤師の国家試験合格者数と同じくらいになります。

果たしてこの供給過多が今後数十年後にどれ程影響を与えるのかは全くの未知数です。

 

ですから現状だけを切り取って看護師か薬剤師かより安定している方を選ぶのはもはやギャンブルになります。

おまけにあなたの考える将来性は社会人になって数年間と言った短いスパンではなく定年を迎えるまで働くことを考えていると思います。すると向こう数十年単位の話しになってきますが、そんな将来を正確に予測できることは不可能です。

 

「向いている」より「向いてない」を避けるべき

看護師になるべきか薬剤師になるべきかと考える時に多くの人は将来の安定性、そしてもう1つの要素として自分が向いていると思える職業を選びがちです。

具体的に言えば化学が好きならば薬剤師、高齢者や病気の人と直接かかわる事に興味がある人は看護師が向いていると言った塩梅です。

 

もちろんそれで自分の進む道を選ぶ事は間違いではありませんが、さらに重要なことは自分はどちらに向いていないのか?をよく考える必要があります。

 

例えば看護師は業務中は常に動き回る必要がありますし夜勤も行う可能性が高いです。すると必然的にある程度の体力と気力が必要になってきます。また血を見るのが苦手、重度の潔癖症である人が「看護師は安定しているから」という理由で決めてしまうと後々に後悔することになるでしょう。

 

一方で細かい作業が大の苦手で数字にトコトン弱い人や性格が大雑把な人は薬剤師になると苦労する事も多いと思います。

 

ですから看護師・薬剤師どちらを目指そうかと考える場合は「どちらの職業の方が自分は向いていないのか」を非常に大切な指標の1つとして考えてみてください。

これはあなたの一生の仕事になるかもしれませんのでとても大切なことです。

実際に私が高校生の時に病院内の薬局で職場体験をさせてもらった事がありました。そしてそこで錠剤を数える作業を手伝わせてもらったのですが一緒に職場体験に行った友人はかなりズボラな性格であったため「この仕事は絶対に無理」と言って薬剤師をあきらめました。

 

私立薬学部に行くなら金は超重要

厳しい事を言いますと家が裕福でなく学力が低い場合には私立薬学部はやめたほうがいいです。理由を説明します。

 

まず上で薬学部に入ってストレート6年間で薬剤師になれるのは約半分と言いましたが、当然ながら偏差値が高い学力のある学生はだいたいストレートで薬剤師になれます。逆に偏差値が低い大学の場合は実は半数どころかストレートで薬剤師になるのが3分の1程度の大学も少なくありません。

つまりどの薬学部に入るのか、ひいてはあなたの学力は非常に大切になってくるんです。

 

そして同時に重要なのが学費です。もし家庭に余裕があるならば薬学部6年間1200万円の支払いをいとわない家庭もあるでしょうが、なかには結局7年・8年大学に通う事になる可能性もあります。するとプラス200万円、400万円です。実家でなく一人暮らしならばさらに生活費が上乗せされます。

つまりお金に余裕がある家庭であること、それなりの学力がある事は必須条件なんです。

「今は学力がなくても薬学部に入ったら勉強を頑張る」と言う人もいるでしょうが、結局努力の度合いは周りの環境に大きく影響されます。あなたが高いレベルの中で周りの学生と切磋琢磨して勉強するのと、自分一人だけ努力をしたとしても結果その努力が十分でなかったと言う事も存分にあり得ます。

 

薬剤師・看護師以外の選択肢を考える

看護師と薬剤師、どちらの方が将来的に安泰かは今の所分かりませんが、分かっているのはどちらも将来的には少なくとも今よりは安定していないと言う事です。

 

現在国の医療費や40兆円をこえて毎年最高額を亢進しています。そして国の課題として「どうやって医療費を減らす事ができるのか」について常に議論が行われています。

 

そして医療費は薬剤師・看護師の給料に直接的に結びつくもの。

つまり今後薬剤師・看護師のお給料は減らされていくのはほぼ確定しているのです。

 

ですから今現状で薬剤師だから安定だとか看護師だから安定だとかを考えるよりも、自分の興味のある仕事、一生続けられそうだと思う仕事を探す事も大切だと思います。