一般的な転職理論について

【消化率0%】有給が取れない薬剤師の職場に未来はない!

 

2019年4月から全ての企業において年次有給休暇の日数のうち年5日については会社側が有給を取得させる必要がでてきました。参考:厚生労働省HP

もちろん薬剤師の働き方においても同じです。

 

せっかく与えられた権利なので薬剤師も有給を希望した日に消化したいですよね。

ただ現実は難しく実質有給消化ができてない薬剤師の職場も多いのではないでしょうか。

 

そこで今回は有給と薬剤師というテーマについて触れていきたいと思います。

「有給が取れない」「そもそも薬剤師が足りずに有給を取る雰囲気ではない」「しっかり有給が取れる職場に転職しようかな」などと考えている薬剤師の方はぜひ参考にしてみてください。

 

パート薬剤師でも有給を取る権利がある

管理薬剤師・パート薬剤師・派遣薬剤師も有給はある

そもそも正社員である一般薬剤師に有給があるのは言うまでもありませんが、例えば管理薬剤師やパート薬剤師、そして派遣薬剤師にも有給の権利が与えられています

 

有給が貰える・貰えない以前に労働基準法で定められているんですね。

ただし以下の条件を満たす必要があります。

雇入れの日から6ヶ月間継続勤務し、そのうちの8割以上出勤した労働者に対して、勤続年数に応じて規定の有給休暇を与えなければならない引用:労働基準法第39条

 

つまり勤務期間が半年に満たない派遣薬剤師であったり、休みがちで出勤日が少ない薬剤師などは有給が通常通り貰えません。ただそれ以外の労働者に対しては有給はしっかり定められているものになります。

ただし中には「管理薬剤師は有給があるわけない」「パート薬剤師に有給はない」と勝手な解釈で、有給を与える必要がないと考えている経営者もいるため注意が必要です。

 

有休を使う事ができないケースもある

ただ6カ月以上継続勤務しそのうち8割以上出勤したからと言って「有給はいつでも使える」と思ってはいけません

実際に正式に有給を与えることができない時が法的にも定められています。

いわゆる「有給の時季変更権」というものです。

時季変更権とは「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる」と労働基準法に規定されているもので、簡単に言えば「会社側の都合で忙しい時などは有給の時期を変更してもらう」ということです。

 

薬剤師が3人しかいない職場で2人が同じ日、おまけに忙しい日に有給の申請をされてしまうと会社としては仕事が回らなくなってしまう可能性がありますよね。そんな時に会社側は有給の時期をずらすように告げる事ができます。

 

しかしこの時季変更権は労働者に休みを与えないための口実として利用する事はできません。当たり前ですよね。もし有給を取らせないための時季変更権の行使はこちらも労働基準法違反に該当し6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられることもあります。参考:福岡県庁HP

 

薬剤師は有給が取れない雰囲気がある現実

有給を取る風潮がない職場も多い

もしあなたの職場が毎日忙しく、とても有給が欲しいと言える雰囲気でなかったり、これまで有給を取る風潮がなかった職場に勤務してある薬剤師も少なくありません。

またひどい場合だと、調剤薬局は中小企業が大多数を占めていますので有給消化に関する法律が変わったことすら知らない経営者もいます。

 

つまりこれまでの習慣として有給自体がなかったものにされている職場も多く、むしろ薬剤師に関して言えばこれが最も多いケースではないでしょうか。

 

有休の申請をしたのに断られるケース

もしあなたが有給を申請するとあれこれ理由を付けて断られるというケースもあるでしょう。

上で紹介した時季変更権のために仕方なく違う日に有給の調整を行うではなく、単に有給を与えない職場もあります。

 

そして本来有給の申請にあたって有給を取得する理由を伝える義務はありませんが「この理由だと有給は与えられない」と言った様に有給の取得理由にまで干渉し、意地でも有給を与えようとしない職場も存在します。

 

薬剤師の未消化の有給は退職時に使う事が多い

薬剤師の場合は日常の仕事を最低限の人数で回している所も少なくないため日頃有給を使用することはせずに、退職する際に有給をまとめて使う形が定型化している所も多いのではないでしょうか。

しかし有給は永久的に残るものではなく消滅していくものです。そして2年間経てば有給は消滅してしまいますし、また有給の買取が行われない職場も多数あるでしょうから、もしあなたが同じ職場で長期間勤めているとすればかなり損をしてることになります。

 

有休がとれない薬剤師の会社の将来性は乏しい

会社の体質としてマズい

有給が欲しくてもくれない職場や有給を取る考え自体がタブーとされている職場ははっきり言って将来性はありません。

 

その理由としてまず労働基準法が改正されて有給取得をさせなければならないのに、有給を与える必要性を無視して改善しようとしない会社の体質には大きな問題があると言えるでしょう。

 

また「薬剤師が不足しているから」という理由だけで有給を与えないというのは理にかなっていそうですが、問題はその薬剤師不足の環境をそのままにしている現状です。「有給のためにヘルプを使うのはおかしい」「薬剤師は最低限しか雇う気はないから有給など与える事はできない」と言う経営者の考えならば、その企業は大分危うい職場と認識すべきです。

 

有休がない薬剤師の損失額

そもそも有給は労働者の心身のケアや労働力の回復などを目標として作られている制度です。ですから初めから「給料が高いから有給はないよ」と言ったり、休みを与えないことありきで有給の買取を行うのも違法の可能性が高いです。

 

では有給はお金に換算するものではありませんが、もし有給をお金に換算したとしたらどれだけ損しているのか計算してみたいと思います。

 

計算すると言ってもただの掛け算ですが、もし時給にして2000円の正社員の薬剤師が2年間働いた後に退職するとします。そしてその間有給の取得はゼロ。また退職時の有給の利用が認められないとするならば21日の有給を捨てることになります。ですから

2000円×8時間×21日=33.6万円 となります。

もちろん法改正され有給の取得が義務化されましたので、ここまでシビアな数字にはなりません。また実際に退職時に有給を1日も使わせてくれない職場はかなりレアだと思います。ただ、もしあなたが長期間働き続けてその間有給を一切使えないとすると有給1日あたり16000円程度も捨てているのと同じになってしまいます。

 

薬剤師は有給消化率100%より休みが多い職場を選ぶべき

有給は労働者の権利です。また有休を取得するのに理由はいりませんし、時季変更権が行使されない限りいつ有給を使ってもいいです。

しかし薬剤師の場合これまで有給を取る風潮がなかったり、有給が欲しいと言い出せる雰囲気でなかったり、退職時に使う事が暗黙の了解となっている職場が大半です。

 

もちろん権利であるためその正当性を主張することも選択肢の1つですが、多くの人がもう有給は諦めているのではないでしょうか。

それならばいっそ有給がしっかりとれる職場に転職を考える人もいると思います。

 

ただ正直有給消化率の高い職場を探しての転職はおすすめしませんのでその理由を紹介していきます。

 

休みが多い職場なら有給は気になりにくい

まず最初に有給消化100%の求人を探すのはおすすめしません。

と言うのも薬剤師の求人を見てみると分かりますが有給を売りにしている企業は本当に少数派です。このご時世、募集要項に「有給消化率100%」と書かれていてそれが嘘である可能性は低いですが、それを探すために他の条件を棒に振るのは非常に勿体ないです。

 

それにたとえ有給の消化率が100%だとしても、もともとの休みが少なければどうでしょう。結局休める日数は大差ない場合も多くなってしまいます。

せっかく心身リフレッシュするための休みですが、それが当たり前の休みか有給なのかの違いになってしまいます。

もちろんあなたの都合で休みを取れる有給を重視したい場合もあるでしょうが、休みが多い職場は必然的に休みが少ない職場よりも有給は取りやすい環境にあります。

 

有給消化率が高い職場は分からない

では薬剤師は有給をメインとする職場よりも休みを重視する職場を選ぶべき理由を紹介します。

 

まず、そもそもの大前提として「どれほど有給に対して理解があるのか」と言うのは事前には非常に分かりづらい問題です。

と言うのも初めから「有給はありません」と言う職場は皆無であり、おおよそ有給の実績がかなり低いかゼロの職場においても「有給が取れる様に会社として頑張っている所です」と言ったようにお茶を濁すことを面接で言われる程度です。

 

もちろん、有給実績が高い職場であればそれをアピールすると思いますがそう多くありません。

つまり薬剤師が転職する際には有給消化率100%を探すのは非常に効率が悪いと言えます。また有休を転職条件のトップに持ってくるとすれば給料や労働時間を犠牲にする可能性も高まります。

 

そして有給が取れたとしても年間10日程度です。それならば初めから有給ではなく休みを重視した職場を選んだ方が建設的です。

また有給消化率100%とは言わないまでも有給が取得てきる可能性もあるため、場合によっては休みが多い事に加えて有給もしっかりとれる職場になる可能性があります。

 

 有給に対する考えが変わる可能性

薬剤師業界は人手不足であるため有給を取るのは今後も難しいのではないかと考える人も多いかと思いますが、世の中の有給に対する風潮は確実に変わりつつあります

 

特に2019年に施行された有給に対する法改正は大きな影響を与えるでしょう。なぜなら有給を与えない事は企業側に罰則があるため努力義務では済まされないからです。

 

またこれまで有給に理解がなかった職場でもこれを機に考え方を変えざるを得ない所も増えてくると思います。

すると今後100%有給消化とはいかないまでも有給取得率はかなり上がってくる可能性はあります

 

その可能性も考えたら有給メインで転職するのは時期尚早と言えるかもしれませんし、仮に職するとしてもやはり有給取得率よりも年間休日の多さで選んだ方が転職先を選ぶべきです。