薬剤師が辞めたいパターン

薬剤師が苦手な服薬指導を克服するとっておきのコツ

 

薬剤師だからと言ってみんながみんな話すのが得意でコミュニケーション能力が高いわけではありませんよね。

しかし話しベタでも薬剤師という仕事柄、患者と会話をしないことには始まりません。

そこで今回はコミュニケーションを取るのが苦手・服薬指導が苦手な薬剤師の悩みについて考えていきたいと思います。

 

人と話すのが苦手な人

服薬指導が怖くて仕事に行きたくない人

苦手な服薬指導をどうにかして克服したい人

これらの薬剤師は参考にしてください。

 

服薬指導が苦手で薬剤師を辞めたいJさん

 

【年齢】24歳
【職場】薬局
【年収】450万円
【休み】普通
【人間関係】普通
【家庭】なし

薬剤師J
薬剤師J

もともと人と話す事が得意ではない。

百歩譲って、慣れれば問題ないのだが人見知りが激しく初対面の相手との会話が苦手だ。

薬剤師1年目は調剤薬局に就職して一通り調剤の事をしっかり勉強しようと意気込んでいたが、やはりここでも問題になってくるのが服薬指導である。

同期の友人などは特に問題なく服薬指導をこなしている様なのだが、自分はなかなか患者と上手く話す事ができない。

この前は患者に「どうしてあんたにいちいち話さないといけないのか?」と説教されてしまった。

この手のことはよくあることかもしれないが、それに対してしどろもどろになり何も言えない自分がいた。

それを見た周りのスタッフがフォローしてくれたために事なきを得たが、その原因を作ったのは他でもない自分だという事は分かっている。

もう薬剤師をやっていく自信がない。薬剤師を辞めたい。

薬剤師における服薬指導の位置づけ

薬剤師の仕事は接客業

薬局は老若男女いろんな人が訪れる所です。

その環境において話すのが苦手だと本当に大変ですよね。

 

最低限薬の説明をするだけならまだしも、相手の状態を把握してそれを薬歴にも記録しなければならない。

さらに新人だとその薬歴に残せる様な患者情報をうまく聞き出す術がない、もしくは何を聞くべきなのかも分からない人も多いのではないでしょうか。

 

ただでさえ新人の頃は覚える事が多く、薬と向き合うのも大変なのに人と向き合う事が苦手なあなたは余計に余裕がなくなっているのでしょう。しかも学生実習ではないため責任は自分にあるというプレッシャーもあるかと思います。

 

そんなあなたに伝えておきたい事は薬局は接客業であるということです。

 

薬剤師は薬の専門家であり専門職の面が強いと思いがちです。しかし薬剤師が知識だけを武器にするのは大間違いであり、知識以上に接客業であることを忘れてはいけません。

ここを勘違いしてしまうと大変な事になります。

 

自分の服薬指導スキルもそうですが、患者の心を開かせる方法などを学ばないまま過ごしてしまうのは大変危険です。

薬剤師は薬の専門家である一方で接客業。

薬剤師が働く場所の薬局や病院は薬を介したコミュニケーションの場です

ですからコミュニケーション能力は必須になってきます。

「自分は薬の知識だけを高めていけばいい」という考えは大きな間違いです。

 

薬剤師に必要な本当のコミュニケーション能力

「これからの薬剤師は薬の知識だけではなくコミュニケーション能力が必要」と言われています。

そして今まさにあなたはこの壁にぶち当たっているわけです。ただしこの「コミュニケーション能力が必須」という事ほどいい加減な言葉はありません。もしコミュニケーション能力が大切と言う人がいたら聞いててください。「具体的にコミュニケーション能力とは何の事を指すのですか」と。

 

おそらく「安心して患者さんが話してくれるような薬剤師に~」「薬剤師として患者さんに信頼されるために~」などの教科書に載っている様な事を言ってくるのではないでしょうか。

 

しかしこの薬剤師におけるコミュニケーションが必要と言うのは便利な言葉であり、色んな対人関係は全て「コミュニケーション能力」で片づけられるため、本当は全く適切な言葉ではないんですね。

 

では薬剤師に必要はコミュニケーション能力とは何なのかと言いますと

患者と行う最低限の会話のキャッチボール

これに尽きます。

何も薬剤師のあなたに心を開いてもらう必要はありません。

心を開いてもらって信頼を得る必要もありません。

最低限の薬剤師としての会話のキャッチボールができればそれで十分です。

 

薬剤師は接客業と言いましたが、会話が苦手なあなたに重要な事は接客プラス薬剤師としての最低限のコミュニケーション能力があれば十分です。

過度に理想を追求する必要など1ミリもありません。

 

多くの患者はあなたに過度なコミュニケーションを求めていない人がほとんです。余程おしゃべりが好きじゃない人で限り、あなたとのお喋りはどちらかと言えばマイナスの感情の方が大きいです。ですからあなたから積極的に過度なコミュニケーションを取る必要性はゼロです。

 

ただしあなたはそれでも「最低限」のコミュニケーションを取る必要があります。

そしていかにこの最低限のコミュニケーションで相手に不快感を与えずに業務をこなす事ができるかを最重要課題にすればいいのです。

 

そしてこの薬剤師に必要なコミュニケーションはこれはマニュアル化すれば全く怖くありません

 

薬剤師が苦手な服薬指導を克服するとっておきのコツ

服薬指導ためのコミュニケーションマニュアル化

例えば患者が血圧の薬を飲んでいるとしましょう。

その際に飲み方や副作用の確認をすると思いますが、その際に事務的に薬の飲み方や副作用を話すのではなく「血圧はどうでしたか?」と聞いてみます。

ただこの程度であれば、おそらくそれはあなたもやっている可能性があると思います。

ですからここにさらにひとひねりが必要となってきます。

 

おそらくあなたは、相手の答えに対して「良い返し」ができないのではないでしょうか。

 

「血圧はいつも通りだったよ」と言われて「そうなんですね」で終わってしまうパターン。これでは相手も気まずく思ってしまいます。

ですからあなたがするべき事はベストな返しをいくつも準備しておく事です。

 

いつも通りと言われたら「飲み忘れがないんですね」「安定して良かったですね」「薬が合っているんですね」など。そしてその後に何か困ったりしたことはないか訊ねてみましょう。

 

もしくは前回受診時の血圧のデータがあるかもしれません。

その時は最初に「○○さん、前回は血圧120でしたけど今回はどうでした?」などと少しでも相手の事に関心がある様に、開口一番に質問してましょう。当たり前に「血圧はどうでしたか?」と聞くより断然効果的です。

 

学校の授業では「服薬指導で患者が辛いと言ったら相手に同意しましょう」と学んだのではないでしょうか?

 

確かに「お辛いですね~」と言う事は大切かもしれません。しかし現場で一番大切な事は同意する事ではなく、適切な回答を持ち合わせているかどうか。

上辺だけの同意ではなく、心から同意していると感じさせることが重要になってきます。

 

薬剤師の最低限のコミュニケーションに大切な事は「適切な返し」です。

そして大切な事は「親身になっている姿勢をみせること」になります。

これらは幸いな事に事前にマニュアル化が可能です。

 

面倒くさい患者とは適切な距離感を取る

あなたが真面目な薬剤師であればあるほど、丁寧な服薬指導を心掛けてしまいます。

それはそれで素晴らしい事です。これからも続けましょう。

 

しかし患者の中には完全にあなたとのコミュニケーションをとる気が一切ない人もいます。

その様な人とは適切な距離感を置きましょう。下手に自分のポリシーだからと言ってあれこれ会話を始めようと思う必要はありません。必要最低限のコミュニケーションはここでも生きてきます。

 

真面目な薬剤師ほど難しいかもしれませんが、それで全く問題ありません。

あなたがいくらコミュニケーションを取りたいと思っていても、相手がそう思っていない限りコミュニケーションとは成り立たないものです。

相手からすれば不快な思いをさせられているだけになります。

 

下手に消耗してあなたが悩み続けて他の患者に対しても満足のいく服薬指導ができなくなる可能性もあるならば、患者との距離感をしっかりとって自分を守るようにしましょう。

 

服薬指導が不要な薬剤師として働く

薬剤師免許があると薬剤師として働かないといけないと考える人も多いですが、その様な法律はありませんし誰かが定めた事もあります。

ですから服薬指導が苦手で仕方なく、どれだけ改善しようとしても難しい場合にはいっそ薬剤師として服薬指導が不要な職場で働くことも検討してみてはいかがでしょうか。

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世の中には薬剤師である事を活かしつつ、服薬指導が一切不要な職場は意外なほど多いため、ぜひ服薬指導をしない薬剤師を目指してみてください。

 

服薬指導が苦手な薬剤師でも慣れが大切

無理に人と話すのが得意になる必要はありません。

世の中に沢山薬剤師がいる中で、全員が話すのが得意である必要はこれっぽっちもありません。

大事な事はあなたが困らない程度にプロとしての会話の技術を身に付ける事ができるかどうかです。

 

例えば今回紹介したような相手の答えに対する「返し」を複数準備して服薬指導に望むなど実践してみましょう。最初に言いましたが、薬剤師が武器とするのは知識だけではありません。それと同じくらいコミュニケーション能力も大事になってきます。

 

ただしいずれも後天的に見につけることが可能なものです。

 

もしあなたの職場に実習生がやってきて実際に服薬指導を行ってもらうとします。するとおそらく知識がある学生でもかなりたどたどしい服薬指導だと感じるはずです。かたやあなたは人と話すのが苦手としながらも、その学生よりは正しい服薬指導が行えるのではないでしょうか。

 

もちろんあなたも当初は学生のような服薬指導であったかと思いますが、後天的に話すスキルは身に付いているはずなんです。ですからもう一度言います。

 

薬剤師におけるコミュニケーション能力は後天的に見につけることが可能です。ですから今一度自分で適切な返し・質問を練って服薬指導対策を真剣に行ってみてください。

 

そしてそれでも厳しいと言う人は薬剤師の服薬指導を捨てましょう。薬剤師=服薬指導が必要なんて考える人はありません。コミュニケーションは後天的に身に付ける事は可能ですが、それでもどうしても向いていない人は確かに存在します。そしてその場合に感じるストレスは個人差が大きすぎます。

 

ですからもしあなたが過度なストレスを感じる場合には服薬指導を捨てて、薬剤師免許を活かした薬剤師以外の仕事や全く関係ない仕事を選択してみてください。