一般的な転職理論について

薬剤師が残業代のために働いてはいけない理由

 

今回は薬剤師の残業代と働き方について考えていきたいと思います。

勤務薬剤師の場合残業代が出るからと言って本来ならば苦痛であるはずの残業を喜んで受け入れるケースもあります。確かにシンプルに年収が上がり、よそにバイトに行く手間も不要ですから一見するととても効率がいい働き方のように見えます。

 

しかし将来を考えた時に残業代を目当てに働く事は結果として自分の首をしめることに繋がりかねませんので、もし現在残業代をあてにしている人やこれから転職を考えて残業代を考慮している人はぜひ参考にしてみてください。

 

本当に必要な残業時間は徐々に減る傾向にある

例えばあなたは1日に1人で30枚の処方箋をさばく必要がある薬局に勤めているとします。

最初は慣れない処方だったので監査や服薬指導に入る前の下調べに時間がかかっていました。薬歴を書くのも遅かったので毎日1時間程度の残業をする必要がありました。残業代はおおよそ月に約5万円です。

しかしそんな職場にも慣れ薬剤の配置を覚え、気を付けるべき処方内容・疑義照会すべき処方箋の判断能力が備わり効率よく仕事ができるようになりました。薬歴も5分とかかりません。

すると1日30枚さばくのがやっとだった薬剤師も薬局が閉まる時間には大分余裕ができ、閉まるギリギリに処方箋が来ない限り定時で帰れる日も出てきました。

 

ただこれを「どうせ同じ時間をかけるなら急いでやる必要はない。残業代も出るし」と考え、当初と同じように時間をかけてわざと残業が発生するようにペースを調整するとしたらこれは本当に正しいのでしょうか。

確かにあなたのスキルが上がった事で調剤と監査のスピードが上がり、さらに丁寧な服薬指導が行えるようになったとしてもあなたの給料に1ミリも影響はないでしょう。むしろ残業代が減ってマイナスになるかもしれません。

 

薬剤師が残業代のために働いてはいけない理由

しかしあなたが正確さとスピードを更に追求し結果として1日30枚以上の処方箋をさばくスキルが身につき、また業務の効率化を実践するスキルも身に付いて、おまけに空いた時間で自己研鑽に励む事ができたとしたら残業代では得られない価値を得る事ができると思います。

 

あなたが今の職場で定年まで変わらない可能性は年齢にもよりますがおそらくかなり低いと思います。つまりいつかは外に出て自分の価値を評価してもらう、あるいは自分で売り込む必要が出てきます

 

もし残業代が欲しいためにダラダラ仕事を行っていてはこのスキルは身につく事はありませんしあなたの成長はそこで止まってしまいます。それに本当にお金を目的とするならば自分のスキルを磨いて自分に自信をつけ、残業代が不要なくらい高い給料を提示してくれる職場に転職した方がよりあなたのためにもなるでしょう。

もしくは自己研鑽を積んでいつでも管理薬剤師の立場を任されてもいいように準備しておくのもいいと思います。きっと残業代分くらいは余裕で昇給します。

未来を考えた時に日頃から自分のスキルを高める練習をしておくことは残業代以上の価値を見出してくれます。

 

薬剤師がサービス残業の不満を感じた時は退職を意識したとき

ただしどう考えても残業が発生してしまうパターン、例えば定時後に当たり前に処方箋を受ける場合などは残業する気がなくても残業するしかないという人も出てくると思います。効率化と言う次元の話でない人もいることでしょう。そして残念ながら残業代が出ない職場というのも少なくありません。不満が出るのはもれなく残業代が出ないサービス残業の職場です。

 

ではそういった場合はどうすればいいのか。

これはあなたが自分で境界線を作る必要があります。例えば毎日30分程度の残業ならば個人的には仕方ないと考えてしまいます。ただこれが毎日1時間になると正直微妙です。

もちろんこれが全員に当てはまる感覚でないことも承知していますので数字に落とし込めてみたいと思います。

仮に毎日1時間の残業がある場合には月に20日勤務したとして20時間になります。時給2000円ならば4万円になりますから年間にすると50万円近い損失です。

 

ただ「出勤時間は業務開始の数十分前が当たり前」「仕事終わりに軽いお喋りをしている」といった人もいる事を考えれば、退勤時間だけを見て一概に時間をお金に換算できない場合もあると思いますし、違う職場にアルバイトに行くとしても実働以外の出勤時間等に数十分はかかってしまいます。

それに職場の人間関係が良好であったりすると多少サービス残業があっても不満を感じて退職するとはなりにくいと思います。逆に職場の人間関係が悪い状態でサービス残業があるならばたった30分でも納得いかないという人も出てくるでしょう。

 

ですから残業への不満というのは結局のところ退職を意識した時の要因の1つでしかありません。すでに頭の中が残業の不満でいっぱいの人はすでに残業を許容できる範囲を超えている事は間違いないでしょう。

もちろん物理的に残業をゼロにするのが不可能な職場もとても多いと思いますが、その時こそ自分にできる精一杯の努力をして効率化を極限まで高めるチャンスでもあります。もしそれでも職場環境・給料に納得がいかない場合には転職をすればいいだけです。

 

繰り返しになりますがこれから先薬剤師として働く上で同じ職場で働き続ける可能性は限りなく低いです。ですから自分の薬剤師としてのスキル(薬の知識だけでなく総合的な処理・判断能力など)をあげて残業に左右されない将来の自分への自己投資の意味を込めて働くことを目指しましょう。