薬剤師の仕事柄、勤務時間が患者に左右される事が多いため自分ひとりの判断で残業するor残業しないを決める事はできません。
ちなみに世間一般的な残業時間は月に25~30時間とされており、おおよそ毎日1時間程度の残業があると考えられます。
もちろん職場によりますが薬剤師の平均的な残業時間もおおよそ毎日1時間くらいではないでしょうか。
「世の中そんなもの」とポジティブに考えるのも1つの手段だと思いますが、中には残業代が出ない職場もあったり、管理薬剤師だから残業代はゼロと言った人も多いと思います。いずれにしても理不尽な残業に対する不満を募らせている方は少なくありません。
そこで今回は薬剤師と残業について考えてみたいと思います。
どうして残業に不満を感じる様になったのか
残業ナシの職場は本当に幸せなのか
残業が理由で転職するのはアリなのか
もし残業なしの職場を探す際にはどのようなことに注意したらいいのか
これらの事について触れていきます。
残業代が出なくて不満な人、残業せずに働きたい人などはぜひ参考にしてみてください。
目次
薬剤師が残業に対して不満が出る理由
残業代が出ないのに年収が低い
残業があっても残業代が出れば大体の不満は解消されます。
中には残業がなくなると給料が減ってしまうため困るという人すらいます。
しかし薬剤師の場合、給料が年俸制だったり残業代もコミコミ価格の給料を提示されている事も多いですから残業代の概念がない職場も少なくありません。
するとサービス残業を強いられて週に何時間もタダ働きする事に不満を募らせている方もいるのではないでしょうか。
中でも最も不満が大きいのが「給料が安いのに残業代が出ない」と「給料は普通だがサービス残業の時間が長すぎる」と言ったパターンです。
これはつまり給料に不満を感じているということです。
この手の職場の場合には定期的な昇給が見込めるケースもありますが、時代が変われば給料も変わってくるのが普通ですので、あなたが勤め上げたその先に納得のいく給料が貰えるかと言えばだれも分かりません。
働かない薬剤師のせいで残業になってしまう
残業と一口に言っても特に不満が大きい残業の1つに「本来不要なはずの残業」というものがあります。
これを例に挙げると
・同僚の薬剤師が働かないため薬歴を書く時間がない
・仕事が終わって帰れる状態なのに誰かが何かを始めてしまう
・定時に帰るのが悪い事の様な雰囲気になっている
・明日で良い事を今日中にやり遂げたい人がいる
これらは本来残業としてやる必要のない残業であり、一方でその職場のハウスルールの様になっているものもあると思います。
百歩譲って残業代が出るならばまだしも、残業代が出ない職場でも定時に帰ってはいけないという雰囲気があるのは理解に苦しみますが、自分ひとりだけ帰る事に引け目を感じながら結局残業をしてしまっている薬剤師も相当多いのではないでしょうか。
つまり残業を減らそうと努力しようにもできない環境も大きな要素と言えるでしょう。
残業がない薬剤師のデメリットも一応ある
残業に嫌気がさしているあなたは残業なしの職場を羨ましいと思っているかもしれません。
しかし残業ナシの職場にも問題点がありますのでここからは残業ナシの職場の問題点を挙げて行こうと思います。
残業がない職場は給料が高くない
残業がない=給料が安いとはなりませんが、残業がない職場は総じてそこまで給料が高くないことが多いです。基本的に多いのが
①残業代が出るけど給料は普通
②残業があるけど残業代は出ず給料はそこそこ高い
となります。基本的に残業なしの職場は給料が高い所は多くありません。
③残業代が出て給料が良い
この職場が理想的では実際はレアな求人と言えます。
残業代をあてにできない
残業がない職場は当然ながら残業代が発生しません。仮に残業が発生したとしてもサービス残業で片づけられる職場が大半ではないでしょうか。
もちろん分単位でキッチリ残業代が出ることは難しいかもしれませんが、ある程度の残業代が出る職場で働く人にとっては残業代は非常に大切な給料プラスアルファになってきます。
医療機関との結びつきが強すぎて共倒れのリスクがある
薬局で残業ナシの職場の場合、それはつまり近隣の医療機関が時間キッチリに閉まる事が多い職場だと推測できますが、はっきり言って将来性は高くありません。
おそらくクリニックなどの可能性が高いと思われますが、今後門前薬局で処方箋を受け付けているだけの薬局は将来性が乏しいですし、近隣の医療機関と共倒れのリスクもありますから、これからの時代選ぶならばむしろ残業がないマンツーマンの薬局は避けるべきだと言えるでしょう。
もちろん時間キッチリに閉まる前に在宅などの業務を行っているのであれば話しは変わりますが、そうでない薬局に残業がないだけの理由で転職するのは大分危険です。
薬剤師が極限まで残業を減らす働き方
残業が少ない病院薬剤師まで視野に入れる
薬剤師が転職する際に転職サイトを利用すると思いますが、転職サイトを利用しても残業ゼロの職場は多くありません。
ですから妥協案として残業ゼロは無理だとしても「残業少なめ」だったり「残業ほぼゼロ」まで視野を広げて考えてみてください。
このご時世わざわざ残業に関して募集要項に記載してある所は、本当に残業が少ない可能性がかなり高いです。ただし夏と冬で残業時間がかなり異なる職場もあるので注意しましょう。
また定時で帰れる率が意外と高いのが病院薬剤師やクリニックの薬剤師です。
もちろん急性期を受けている病院だったり院内処方の病院では難しいかもしれませんが、慢性期の病院では定時に終わる事ができる職場も少なくありません。ですから病院薬剤師も視野に入れて考えてみてはいかがでしょうか。
残業しない意志をあらかじめ伝える
残業がない職場が見つかってもあまりピンとこない職場の可能性も高いです。例えば残業ナシだけど全く興味のない眼科門前だったりすると二の足を踏んでしまうかもしれません。
そんな時は残業ナシの職場だけを探すのではなく残業をしない意志をあらかじめ伝えておくことがベストになります。
しかし転職先の面接でいきなり「残業は絶対に1分もしたくありません」と言っても角が立つだけになります。ですからあなたが残業しない意志を告げるのは転職先ではなく、薬剤師転職サイトの担当の方伝えてください。具体的にはに「残業ができないのですがそれでも受け入れてくれる職場を探して欲しい」と告げてみてください。
必ずプラス数か所の職場を提示してくれるはずです。
そしてその際に職場に求める優先順位の1位が「残業がない事」これも併せて伝えるようにしましょう。
と言うのも転職サイトの担当者は希望条件にあった職場を探してあなたに紹介してくれます。しかしその際に要望が多すぎると本当に重視したい要求が薄れてしまいます。
「残業ナシで給料が最低600万円で有休がとれる単科門前ではない薬局が良い」と言われて、この条件に合致する求人があればいいですが、そうでない場合には担当の方はどれを重視すべきか分かりません。結局バランスを考えた無難な転職先の紹介で終わってしまう可能性もあります。
ですから初めから残業ナシを最優先にして紹介してもらい、そこから選択する方法を取りましょう
この時に1つでも多くの求人を紹介してもらうに越したことはありません。ですから求人数が群を抜いている薬キャリを使用すれば、地域にもよりますがおそらく5社程度は残業がほぼゼロに近い職場が見つかるはずです。
薬キャリ
正社員薬剤師を捨ててパート薬剤師として働く
どうしても希望の求人がない場合の最終手段としてパート薬剤師も考えましょう。
と言うのも薬剤師の場合、パート薬剤師で働くことのメリットも大きいです。
たとえば正社員並みに働けば社会保険の加入もできますし、そもそもボーナスがない薬剤師もたくさんいますので、パート薬剤師でも時給が良ければ正社員並みの給料が貰えます。
おまけにパート薬剤師にはサービス残業と言う概念がないのが一般的なので、正社員で残業がない職場が見つからない場合はパート薬剤師としてガッツリ働く選択肢も考えてみてはいかがでしょうか。
パート薬剤師になることで爆発的に選べる求人が増えます。
交渉して残業をしない
もしあなたが「いつでも辞めてもいい」位の気持ちでいるならば、今の職場で残業をしない意志を伝えるのも1つの手段です。
そもそも残業代も出ずに残業を行うこと自体、時代として遅れています。特に薬剤師業界は労働時間が減るのではなくむしろ増え続けている状況にありますので、あなたが残業したくない気持ちは自然なことだと思います。
ですからもし会社と話して「残業は今後一切できません」と告げて判断をゆだねるのも選択肢の1つだと思います。
残業が少ない職場を考えている薬剤師の注意点
もしあなたが残業が嫌で転職を考えているのであれば、残業はあくまで「おまけ」ではないでしょうか。きっと他にも不満があると思います。例えば職場の雰囲気や人間関係にも大きく影響を受けていると思います。
もし残業以外にも不満がある職場であるならばおそらく残業する事は苦痛でしかないと思います。そもそも残業をよしとするのは残業代が出て給料が増える事以外にはほぼありませんから基本的に薬剤師の残業などないに越したことはありません。
ですから個人的には転職理由に残業が多い事を挙げるのは正しいと思います、中には「残業くらいどこもやっている、そんな理由で転職するのはおかしい」と言う人もいることでしょう。
ただあなたの過ごす時間において、それを判断できるのはあなたであっていいはずです。他人と比較して残業を我慢すべきか否かを決める必要はありません。
ですからもし残業に不満を募らせている薬剤師の方は自分の時間を最優先するべきだと思いますし、結果的に残業が転職理由になっても全く悪い事とは思いません。
ただ仮に転職するにしても次の職場を探す際にも十分注意が必要になりますので、もし転職を漠然と考えている人もいますぐの転職を考えている人もぜひこちらを一読してください。
本当に薬剤師が残業ナシの職場を探すのであれば転職サイト選びは本当に大切になりますので、再び残業で悩まないためにも十分注意しましょう。
ちなみに私は残業+休日出勤に限界がきたため、次の職場はいかに働かないで済むかと言う事を最重要課題として転職しました。結果として私の月の平均的な残業時間は1時間程度となり、ほぼ毎日定時に帰っています。