実は薬剤師はニートに人気の職業であることをご存じでしょうか。
その理由としてはもっぱら「薬剤師は楽そうなのに給料がいい」と言う理由になります。
ではその逆である薬剤師がニートになることはないのかと言えば、これが案外珍しいことではありません。2017年には71万人いるといわれるニートの中にも薬剤師は存在し、そこに至るには様々な理由が存在しています。
そこで今回は薬剤師が働かずにニートになるというテーマについて触れていきたいと思います。
薬剤師がニートになる理由、ニートになることについて、そして社会復帰をする際の注意点を紹介してきますので、もし労働意欲がなくなっている薬剤師の方はぜひ参考にしてみてください。
目次
薬剤師がニートになる理由
仕事がつまらない
「仕事がつまらない」「転職すれば何かが変わるかも」と思って転職してみるものの、結局薬剤師の仕事はどこも同じようなもので薬剤師としてのやりがいが見つからずにニートになってしまう人も少なくありません。
特に薬剤師を目指したきっかけが「安定」「手に職が欲しかった」という人の場合はもともとのモチベーションが低く設定されているため、リアルな現場がより働きたくない意欲を増幅しているケースもあります。
働くことにトラウマがある
薬剤師が仕事を辞める理由の断トツ1位の理由は言うまでもなく「職場の人間関係」となります。特に新人薬剤師の場合やお局薬剤師がいる職場などでは一方的にサンドバックにされ、いじめられ理不尽な扱いを受ける事があります。
すると仕事に行くことは死ぬほどつらい事に感じ、仮に仕事を辞めたとしても再び復帰する勇気が持てず、そのままニートに突入してしまうケースも多いです。また仕事内で大きなミスをしてしまい、それがトラウマになって薬剤師として働くことが怖くなってしまう人もいます。
他人と関わりたくない
薬剤師の仕事は基本的に人と接する仕事であり、薬剤師免許を使って働くのであれば人と接することなく仕事をするのは不可能です。
ただ一方ですべの薬剤師が他人とコミュニケーションをとるのが上手かと言えばそんなことはなく、もともと人と距離を置く事が多かった人、適切な距離の取り方がわからない人など、社会に出ることでより一層それらのスキルを必要とされることにプレッシャーを感じ、他人と関わりたくないからとニートになってしまうケースも珍しくありません。
単純に働きたくない
薬剤師に限らず、特に理由がなく働きたくない・毎日ダラダラして過ごしたいという人も世の中に少なくありません。
薬剤師なんだから理由もなくニートになる人はいないのでは?と思われるかもしれませんが、実は特に理由のない薬剤師ニートは決して少なくありません。
その理由の1つとして親の存在があります。ズバリかじるスネが十分にあるためです。
現状私立薬学部に6年間通わせるとトータルで1000万円以上はかかります。もし実家を離れて一人暮らしをするならば2000万円程度のお金が必要です。つまり子供を薬学部に入れる時点でその家庭は中流以上の家庭と言えるんです。そうなるともともと経済的に体力がある家庭の場合ならば仮に大人1人が働かないとしても影響は皆無。親のスネをかじる事ができてしまうからなんです。
もちろん「親が悪い」と言うつもりはありませんが、ニートでいられる環境が備わっていることはニートでいられるための必要条件になります。
薬剤師がニートになることについて
ニートの最大の問題点
世間一般的にニートが悪だと言われる理由は
・公共サービスだけ享受している
・家族に迷惑がかかる
・世間への貢献度がゼロ
・生活保護受給の可能性が高まる
等が挙げられます。
これらは確かにニートの問題点と言えるかもしれませんが、実は一番の問題は社会復帰のハードルが極端に高くなってしまうことが問題としてあげられます。
例えばニートだった人がいざ社会復帰しようと企業の面接に行ったとしましょう。するとほぼ間違いなく「この空白の期間は何をしていましたか?」と聞かれます。そしてその理由をいくら繕ってもニートであった事がバレてしまいます。
すると世間一般的に空白の期間があることは間違いなくポジティブな理由には働きません。いや、はっきり言って社会復帰においてかなりのビハインドを背負うことになります。
そして仮に運よく入社できたとしてもやっとスタート地点に立てたばかり。今度は仕事を継続するというミッションが永遠と続きます。
これはつまり「ニートであることがニートからの脱却を困難にしている」ためなんです。
ニート薬剤師だけのメリット
一方で薬剤師ニートの場合は少し事情が異なります。
まず薬剤師業界はもっぱら人手不足の業界です。余程の事がない限り空白の期間が多少あったとしても採用を見送ることはありません。また薬剤師の場合は単に人手不足と言うだけでなく選択肢が非常に多いのもメリット。例えば調剤薬局でもドラッグストアでも病院薬剤師でも探せば非常に多くの求人が存在するため、空白期間があったとしてもあなたに合ったペースで働ける職場を探す事ができます。
※もちろん職場選びが超重要になりますのでこちらに関しては後で紹介していきます
すると薬剤師の場合はニートである一番の問題点である社会復帰の問題がクリアされている様なものです。
そして中には「ブランクがあると仕事をいざ始めた時が不安」と言う声も多く聞きますが、これも過度に不安になる必要はありあません。と言うのも女性薬剤師は妊娠・出産を繰り返し数年ブランクが空いても社会復帰できる現状を考えればあなたにだけ出来ないということはありませんので安心してください。
「ずっと働かなかったらどうしよう」と思う方も心配ご無用。
あなたは絶対にいつかは働くようになります。
なぜならばあなたは「薬剤師ほど社会復帰が容易な職業はない」と思うからです。
基本的に何のスキルもない中途採用を雇って日本人の平均年収の450万円を得ることははっきり言って相当難しいです。ただ薬剤師の場合、薬剤師免許があればそれすらも容易にクリアする事ができます。こんないい話しはありませんし、いつでも戻る事ができる精神的余裕を持つことは社会復帰において大きなメリットと言えるでしょう。
ただし薬剤師がニートになることは一切の不利益がないのかと言えばそんな事もありませんので、次からはより具体的な問題とその解決策について紹介していきます。
ニート薬剤師の問題点と解決法
働けと言う親を説得させる方法
もしあなたが「単純に働きたくない」「薬剤師にやりがいを感じる事ができない」と考えても個人の生き方なので自由に尊重されるべきですが、やはり薬剤師にしてくれた親を無視する事は出来ないでしょう。
では合法的に親を説得しながらニートをする方法としては
親を不安にさせない
これを重視してください。具体的な方法としては
金銭的に自立する
働かない理由をつくる(言い訳ではない)
このままずっとニートではないことを伝える
この3つを意識してください。もし親を本気で説得するならば場合によっては多少の労働を必要とすることがあるかもしれません。しかしこれも最低限の労働で構いません。
親がニートの子供に対して心配する理由は「このままずっと働かないつもりなのでは」という労働に対する意欲損失の不安と社会的な体裁、そして社会人としての自立になります。
つまり最低限のお金を稼ぎ、今やるべくしてニートをやっていること、そしていつか社会復帰する確証があれば、安心まではいかないまでも必要に責められることはありません。
具体的な方法を言えば時給3000円の5時間を週2回。これだけで12万円ですから最低限これだけでも親を安心させるには事足りる金額でしょう。
もしくは時給3000円の派遣薬剤師で週5で5時間働くだけでも
3000円×5(時間)×5(日)×4=30万円
これを3カ月働けば90万円稼ぐ事ができます。
するとたったこれだけで数カ月間はニートとして暮らす事ができますし、定期的に働くことで自分でお金を稼ぎ、家を借りて一人暮らしすることもできます。地方ならばさらに生活費を抑える事ができます。
もはや本末転倒とも言えますがこれならば安全圏。自立することができますし連続してニート生活が可能です。
また今の時代色んな働き方があります。外に出て働くだけが労働ではありません。家でブログを書いてお金を稼いだり、薬学の勉強をする姿を見せたりするのもいいでしょう。
親の不安としては「このままずっとニートだったらどうしょう」と言う不安になりますので、金額がいくらにかかわらず少しでも働いている、もしくは社会復帰を意識していると思ってもらえれば安心するものであり、親が不安にならないように最低限の努力はしましょう。
あなたが仮に社会復帰を考えた際に薬剤師免許と言うカードがあるのは親のおかげなのですから。
働くことにやりがいを見出す方法
「薬剤師はつまらない」「一生薬剤師をやるなんて考えられない」と言うニート薬剤師が働くことにやりがいを見出す方法としては薬剤師としての働き方にこだわらない事が一番です。
薬剤師にやりがいを見つける必要など1ミリもありません。あなたはたまたま薬剤師免許を保有しているだけで薬剤師として働く義務などありません。それに薬剤師としての働き方にうんざりしているのであれば、より一層薬剤師という働き方にこだわる必要はありません。
それに極端なことを言えばやりがいなどなくても結構。自分がこれならば続けられそうと思える仕事を探し、それまでのんびり暮らしてみてはいかがでしょうか。
ニート薬剤師の社会復帰を楽にする方法
薬剤師の社会復帰はかなり容易だと言いましたが、これは正しい社会復帰の仕方を経ないと非常に危険なことになります。基本的に薬剤師が社会復帰することは容易ですが、実際に働き始めて挫折する人も少なくありません。
ですからあなたが社会復帰のハードルを少しでも下げたいのであれば2つのことを意識してください。
1つは変なプライドを持たないことです。
確かに薬剤師は人手不足でどこでも働くことができますが、だからと言って薬剤師であることにおごりを持ってはいけません。もしあなたにブランクがあるのであれば薬剤師1年目のつもりで謙虚に、そして分からないことも素直に分からないと告げて教えを乞うようにしてください。
そしてもう1つはあなたが必要な職場に就職することです。
あなたを本当に求めている職場と、数合わせとしての薬剤師を欲する職場ではあなたの薬剤師生活を大きく左右してしまいます。もしニートになった原因が「職場の人間関係」である人はあなたを本当に求めている職場で働くようにしましょう。
では「どうやって自分が求められている職場なのか?」という疑問ですが、これはあなたを採用した人が現場で一緒に働いている職場になります。
理由はこちらで詳しく紹介していますが、あなたをただの数合わせでない、本当の仲間として迎えるにあたって現場で一緒に働く人間以上に大切なことはありません。安易に給料と休みで職場を選ばないようにしましょう。
ニートは1つの手段でしかない
世の中の「働かない人、働く意思のない人」の中には数限りない理由が存在していると思います。今回序盤ではニート薬剤師になる理由をいくつか紹介しましたが、これはあくまで大きなくくりでしかなく十人十色の理由があるはずです。
しかし基本的に働かないことは悪い事だと考えるのが世の常であり、さらに薬剤師に関しては「わざわざ薬剤師免許を取得してまでニートをしている意味が分からない」と言われることもあるでしょう。ただしこれは「たまたまあなたが薬剤師免許を持っていた」だけであり、それに引け目を感じてしまう必要はありません。
特に学生時代の病院実習であったり新人の頃の職場でのいじめであったり、それらがトラウマになってしまっている場合などはニートであっても全く問題ありません。仮にあなたが半年で仕事を辞めてニートになったとしても全然いいんです。
人は半年もあれば簡単に壊れてしまいます。働かないことを悪い事と考えずに一度ゆっくり休憩してみてください。働き続けることだけが正義ではありません。
また単に仕事がつまらない、働きたくないと言う薬剤師もいるかと思いますが、だれにも迷惑をかけない前提であればこちらも全く問題ありません。他人と関わりたくない時は関わらなくてもいいですし、もし働くにしても他人と関わりたくない場合もあると思います。
むしろやる気もないのに漫然と仕事を続ける事で自分自身を追い込んでしまったり、健康被害に直結するようなミスを犯してしまうよりは、ゆっくり自分の時間を過ごした方が世間的にもベターでしょう。
ですから自分が本当にやりたいことができた、もしくは働く必要性が出てきたと感じるまでニート薬剤師でいてみてはいかがでしょうか。
これまで言ったことを振り返るとニート推奨派に思われるかもしれませんが、本音を言えば特に否定も肯定もしません。あくまでもニートは選択肢の1つでしかありません。
今を一生懸命生きる必要などありませんからレールから降りることも考えてみてはいかがでしょうか。