一般的な転職理論について

薬剤師が転職する時は不安であればあるほどいい理由

 

職場を辞めた日はこの上ない解放感があります。

ただいつまでも働かない訳にはいきませんので「転職先を探すか」といざ転職先を探し始めると同時に感じ始めるのは「不安」です。

 

そして不安と聞くとネガティブなイメージを持つ人が多いと思いますが、実は転職に不安を抱くことは決して悪い事ではありません。

では今回はどうして薬剤師は転職する時に不安を感じた方がいいのかについて紹介します。また「そうは言っても不安を感じたくない」と言う人もいると思いますので、転職する時に不安を減らすための対処法も併せて紹介していきます。

 

薬剤師は転職時に不安を感じた方がいい理由

不安を感じる2つの大きな理由

転職に不安を感じるのは薬剤師に限った話しではありません。

少し前のデータになりますがエン・ジャパンの調査によると転職に不安を感じる人はなんと95%に上るそうなんです。

 

不安の理由としては「年齢」や「年収」が上位になりますが、薬剤師が転職時に感じるものはこれらの条件はたいした問題ではありませんので、転職する薬剤師が感じる時の不安は大きくこの2つと言っても過言ではありません。それは

「職場の人間関係」「薬剤師のスキルが通用するのか」です。

 

基本的に薬剤師は転職する際にこの2つが未知なために不安を感じてしまいます。

 

しかし考えてみてください。

 

職場の人間関係は実際に入ってみてからでないと深いところまで知る事はできませんし、薬剤師としてのスキルが通用するかどうかはその職場で求められている事がそれぞれの職場で異なるために「何ができれば安心」と明確に定義できるものではありません。

 

つまり転職する薬剤師が感じる2つの不安はいずれも転職する前の段階では未知な事であるために、不安になるのは当然のことなんです。

極論を言ってしまえばたとえ高校生のバイトでも初めての所で働くと不安になるのが当たり前です。中には「明確な目標」があってやる気にみなぎっている人もいますが、基本的にそういったポジティブな転職する人はごくわずかになりますので基本は誰でも不安を抱えて転職すると考えてください。

 

自信過剰な薬剤師は嫌われるリスクが高い

ではどうして薬剤師が転職する時に不安であれば不安である方がいいのかと言えば、あなたが転職する側ではなく転職する人を受け入れる立場になって考えてみてください

 

例えば「自分はこれまで管理薬剤師としてバリバリやってきました」と自信満々な人があなたの職場に入ってきて、いきなり「これはこっちの方が効率がいいですね」と自己流を出してくるとかなりの確率で嫌われます。

 

それならば新しい職場の人間関係に不安を感じて一歩引いている方がまだ良いでしょう。

また薬剤師としての知識が不安である場合ならば新しい職場でも頑張らなければいけないと自らのモチベーションを上げる事に繋がります。

一番最悪なのは自信過剰で知識が全く伴っていない薬剤師です。それに比べると不安で不安で仕方ない人は大した問題ではありません。

 

転職になれると転職が不安でなくなる

何事も経験とはよく言ったもので、それがたとえ転職だとしても経験が増えるにつれて慣れてくるものです。

もし転職する事に一切の不安を持たない薬剤師で転職回数がそこそこある人はおそらく「なれ」の部類に入っていると思います。

個人的には転職する事自体は決して悪い事とは思いませんし、転職に有利な事が薬剤師の最大の利点だと考えますので鬱になる位ならば転職推奨派なんですが、やはり無駄に転職はするべきではないと考えます。

転職になれると言う事は同時に「退職」することにも慣れてしまうため、本当に退職すべきか否かのモノサシが歪んでしまう可能性があります。ですから転職になれると言う事は正直歓迎しません。

 

転職先の期待は低い方が良い

基本的に転職先に不安を感じるのはネガティブな事を考えてしまうからです。

上でも挙げましたが

「職場の人間関係が最悪だったらどうしよう」

「同僚の薬剤師のレベルが高くて自分が役に立たなかったらどうしよう」

と考えてしまうことです。

 

ただ不安な人は自分で自分のハードルを下げている状態になりますので、いざ転職して新しい職場で働き始めると案外それらの不安は杞憂だったという事も少なくありません。

 

新しい職場に希望に胸を膨らませるよりも不安でネガティブになっている方がハードルが下がっている状態なので、仮に悪い職場だったとしてもその落差は大した事ではありません。最悪次にいけばいいだけです。

「簡単にまた転職はできない」と思う人もいるかと思いますが、そこで無理に働き続けるよりは早めに見切りを付けた方が絶対にいいですし、期待度マックスで転職してそれが見事に裏切られた時はそれを認めたくないがためにいつまでもズルズルと働き続けてしまう人も少なくありません。

 

薬剤師の転職する時の不安を解消する方法

と言う事で薬剤師が転職の時に不安になるのは悪い事どころかむしろ良い事だと考えますが、それでも不安を取り除きたいと考えるのが普通だと思います。

ではここからは薬剤師が転職する際に不安を取り除く方法を紹介していきたいと思います。

 

初めは使えない薬剤師でもいい

自分にスキルが足りないと感じてしまう瞬間があるかもしれません。

しかし転職する薬剤師ならば絶対に感じる瞬間があると思います。

 

そもそも職場で求めれらるスキルは同じ薬剤師としても十人十色のスキルが要求されます。ですから問題はその足りないと感じたスキルにこれからどうやって向き合っていくかと言う事。未知のことに不安を感じてしまう場合もあるかと思いますが、それらを1つ1つ潰していく作業ができる人である事が最も重要です。

 

自己分析するよりも会社見学の方が大切

一般的に転職する際には「自己分析して自分にあった職場を探しましょう」と言われますが、これは薬剤師には当てはまりません。

と言うのも薬剤師の職場はたいてい同じなので自己分析してもあまり意味がないからです。

ですから自己分析をするくらいならば1社でも多く見学したり現場の薬剤師と話してみる方がより理想にあった職場を探す事ができます。

 

転職に失敗しても次に行ける事を考える

できれば転職回数は少ない方が良いと考える薬剤師が多数派だと思います。

しかしだからと言って転職に失敗したとしても「最低でも3年」みたいなことは考える必要はありません。特に「職場の人間関係問題」の場合は。

 

自分の働く場所は自分で再設定する事ができます。これが大学生の実務実習でハズレをひいてしまった場合は最悪です。どんなにつらくても基本的に11週間は同じところに通わなくてはなりません。

 

しかしあなたは実習生ではなく転職に失敗しても11週間拘束される事もありません。無理に自分に暗示をかけて転職を不安になる必要性はなく、見えない部分も多い転職ですから最悪次に行ける位の覚悟でいる事も重要です。

 

徹底的に情報収集して候補を3つにする

「失敗しても次に行くべき」と言いましたが、それでも退職したすぐはおそらく自分に自信をなくし、さらに不安になっていると思います。

ですからあなたが転職する際には最低でも3つの候補を選んでおきましょう。

 

理由はもし転職に失敗したとしても次に候補があることですぐ行動に移せるからです。これをまた1から転職活動を行えば、その時間がよりあなたを不安にさせてしまいます。

 

知り合いの所で働く

あなたの知人・友人から一緒に働かないかと誘われた時に流れに身を任せるのもいいでしょう。少なくとも人間関係に対する不安はありませんし、人間関係に問題がなければ薬剤師としての能力に対する不安も緩和されるでしょう。

ただこのケースは稀だと思いますので、薬剤師会の集まりなどで仲良くなったり知り合いであったり、知り合いの紹介などの縁を大事にしてみるのもいいと思います。

 

逆に不安になる転職をしてみる

ここまで読んでもおそらく不安が解消しそうにない人も多数いるはずです。

そんな時はおそらく何をやっても不安だと思いますので、ここはあえて年収がかなり高かったり休みが異常に多かったり、「この職場なんだか怪しい」と思う様なところに逆に転職してみてはいかがでしょうか。

つまり自ら不安になりそうな職場を選ぶんです。

 

結局不安を感じるのであれば条件が普通で玉砕するよりも、条件がいい所に転職してみて玉砕する方がメリットが大きいです。案外それが自分の理想的な職場だったと感じるケースも非常によくある話しです。

ですから逆に不安を武器にして怖いもの見たさの転職を行ってみるのも良いと思います。

ただし明らかに地雷を踏む必要はありませんのでやはり情報収集は徹底して行いましょう。

 

薬剤師が考えるべきは将来への不安

薬剤師不足時代に生きている我々にとって全く想像できない事だと思いますが、通常転職する時の一番の不安は「職があるか否か」なんです。

多くのサラリーマンは今の新卒で入社した企業を辞めると次はランクが落ちる企業への転職する・もしくは最悪職がないかもしれないと不安を感じています。

 

時代の流れで今はたまたま職がある時代と言っても良いと思いますが、これが一転する可能性が薬剤師にもないかと言えばそんな保証はどこにもありません。

 

しかしそうは言っても中々イメージする事は難しいと思います。

 

ただ常に将来に対する不安を感じることはあなたの将来に対しても重要なことだと考えます。

例えば「将来が不安だから今のうちに勉強しておこう」と考えたり「薬剤師以外の道にも足を突っ込んでみよう」と違う道を模索し始めたり、仕事から離れて「積み立てNISAを始めよう」とお金の勉強を始めたりと色んなことを考える原動力になります。

 

ですから転職時に限らず将来に対して不安を感じる事は決して悪い事ではありません。

むしろそれを抱きつつ不安を解消したり利用したりして行動してみてはいかがでしょうか。