薬機法の改正により、これからの薬局は地域連携薬局と専門医療機関連携薬局の2つを目指すことになります。そうなると必然的に多数の薬局が地域連携薬局を目指すことになるでしょう。
すると「門前薬局は淘汰され、面分業を行っている薬局がより地域連携薬局に適している」と考えられますが、そもそも面分業と門前薬局の違いとは何なのでしょうか。
たとえばドラッグストアなどは面分業だと即判別できますが、微妙なラインの薬局は判別に困ると思います。
ですから現状ではもっぱら調剤基本料がその役割を担う事になっています。
つまり今の調剤基本料の分類を見ると調剤基本料1は面分業、地域連携薬局に適している薬局と言えるのかもしれません。
しかしそれは本当に正しいのでしょうか。
と言う事で今回はこれからの薬局と調剤基本料について触れていきたいと思います。
地域連携薬局に適していないのは調剤基本料1の薬局
地域連携薬局の目玉は
「かかりつけ薬剤師による薬の一元管理」「医療機関等との連携」「在宅医療の推進」
となり、確かに面の方が適している様な感じもします。
すると必然的に調剤基本料1を算定している薬局が理想的だと思いますが、個人的にはむしろ地域連携薬局に最も適していないのが調剤基本料1を算定している薬局だと思います。
と言うのも究極を言えば地域連携薬局を満たす一番のハードルは「かかりつけ薬剤師の推進」と「在宅医療の推進」になりますが、これを実行できるのは薬剤師の在籍数がそこそこ多くて、備蓄している在庫の多い薬局になります。
ですからむしろ地域連携薬局は備蓄品目・薬剤師数等々で比較的体力のある調剤基本料2や3の薬局が適していますし、逆に処方箋受け付け回数が2000回未満の薬局は自動的に調剤基本料1になりますので、規模的にも小規模の所が多いでしょう。もちろん受け付け回数が4000回で集中率60%なんていう薬局や敷地内薬局は別ですけどね。
ただ基本的に中小の調剤基本料1を算定している薬局では大手の様に在宅をバンバン行ったり多くの在庫を備蓄したりするのは経営に致命的なダメージを与えるため、はっきり言って在宅やかかりつけを行う余裕がない所も多いです。
調剤基本料が与える薬局への影響は大きい
これまで通り中小の規模の薬局が調剤基本料1が算定できるために安泰かと言われればそんな事はありません。
現に調剤基本料1の算定要件が厳しくなることは必至ですし、同時に大ダメージとなる薬局も多いです。
そもそも調剤基本料1が算定できなくなると当たり前ですが調剤基本料1(42点)が算定できません。また収益の大きな柱になるであろう地域支援体制加算(35点)を算定できるのはほぼ不可能。調剤基本料1以外が地域支援体制加算を算定するには鬼の様な要件を満たす必要があります( 夜間・休日等の対応実績 400回や麻薬指導管理加算の実績10回など)。
おまけに調剤料も減算されるのが既定路線ですし、後発品体制加算も今まで以上に厳しいパーセンテージを求められるはずです。
もちろん調剤料や後発品体制率は調剤基本料に直接的な関係はありませんし、地域支援体制加算の要件が変わったり新たに加算が新設される可能性だってあります(地域支援体制加算は多分なくなります)。
ただ法律も改正され国の求める形がはっきりしている以上、いずれにせよ厳しい時代が待っていると言っても過言ではないと思います。
調剤基本料の一本化は難しい
今回の中医協では日本薬剤師会常務理事の有澤賢二氏は
現行の調剤基本料は一本化されているものであり、いたずらに区分を増やしたり、適応を拡大したりするなどは避けるべき
と調剤基本料は現状を守るべきと発言したり、厚労省の田宮氏は
基本的に調剤基本料は一本で対応すべきとしてきた。そこには面分業かどうかという概念が入っているわけではない。必ずしも集中率の高いところが調剤基本料1という現行の考え方と沿っていないということではない
と決して調剤基本料1の薬局は面分業であることを想定していないと発言しています。
でもこれって詭弁だと思います。
もしこれが調剤基本料が段階的に分類される前であるならばまだしも、すでにスタートしてしまっている訳で、調剤基本料の減算は「大手調剤チェーンが門前にばかり出店してけしからん」「集中率が高い薬局はこれからの時代にふさわしくない」と言う罰則・抑止力の面も大きいため、理論上調剤基本料の分類が正しとは言えなくても、もはや引っ込める事は困難です。
それに「大手叩き」を口実に始めた調剤基本料の分類ですが、減算対象となる中小の薬局も少なくなく、おまけに調剤基本料1の算定できる条件は次第に厳しくなっていますので、建前上は大手叩きとしてスタートした調剤基本料の減算も薬局全体の医療費削減には繋がっています。
それに何を血迷ったか、過去には調剤基本料は「特例除外」としてかかりつけ薬剤師の算定人数で調剤基本料1を算定させてあげたり、24時間開局で調剤基本料1を算定させてあげたりと、どうしてそれが特例除外になるのか理論に苦しむ事も行われました。
つまり薬局をコントロールするために調剤基本料は非常に使い勝手がいいんです。
ですから今更調剤基本料を1本化するなんて難しいと思いますし、厚労省も面分業を目指すべきと調剤基本料の分類に「集中率」を多用しておきながら、ここにきて調剤基本料は面分業の概念は入っていないというのは無理がありますよね。
しかし調剤基本料の分類は深い信念があるわけではない事を考えるとむしろ多少の理不尽があっても自然な事なのかもしれません。
調剤基本料の集中率は今後さらに厳しくなる
しかしそうは言っても調剤基本料の分類は非常に大切な役割を担っており、調剤基本料の分類は今後さらに厳しくする余地はあると考えます。
国の方針としては、本音を言えばさらに調剤基本料1に該当する薬局をガッツリ減らしたいはずですし、はっきり言って今の調剤基本料の分類が「ぬるい」事くらい十分感じていると思います。
それに処方箋受け付けが2000回未満で集中率無制限の薬局にこそメスを入れたいと感じているはずです。
しかし納得してもらえるギリギリのラインをまず設定し、それを徐々に広めていくのは厚労省お得意の手口ですし、中医協を見ている限りまだまだ門前薬局への風当たりは強く、依然としてほぼ薬局数に影響がない事を考えるとまだ道半ばの印象を抱いてしまいます。
と言う事で諸々含めてこのようにツイートしました。
薬機法が改定されて地域連携薬局が制定された以上、地域支援体制加算は100%なくなる。報酬の主軸にしていた薬局は必然的に地域連携薬局を目指すことになる。つまり今調剤基本料1を算定している薬局はこれからある程度の在宅を行う事が最低条件になる。
— 怒れる薬剤師 (@nextpharmacist) December 2, 2019
これから大多数の薬局は是が非でも調剤基本料1を目指していくしかないと考えます。
そして調剤基本料1を目指すと同時に在宅を行う必要性が絶対出てくるでしょう。