薬剤師の世界には体育会系の様な上下関係がある職場は多くありませんが、陰湿な上下関係が存在している職場はそこそこあります。
そして新人薬剤師は否が応でも「一番下っ端」になってしまうため、先輩薬剤師から一方的に攻撃を受ける人もいるでしょう。
そこで今回は先輩薬剤師に嫌われてしまって前途多難な薬剤師を見て行きたいと思います。
薬剤師の職場の上下関係に疲弊してしまっている方。もう辞めたいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
目次
先輩薬剤師に嫌われる新人薬剤師Vさん
【年齢】24歳
【職場】薬局
【年収】400万円
【休み】普通
【人間関係】問題あり
【備考】新卒薬剤師
今年薬剤師国家試験に合格したばかりの新人薬剤師として薬局で働いている。
勉強が飛びぬけて出来る訳ではないが、要領は良い方で成績は大学でも中の上であり浪人も留年も卒留もせずに実務実習もそつなくこなしストレートで薬剤師になる事ができた。
しかし社会人になって働き始めて早速洗礼を受けている。
それは先輩薬剤師からの風当たりが非常に強い点だ。
・・と言葉を選んで言えばそうなるが、砕いて言えばいじめられると言ったニュアンスが近い。
その先輩薬剤師はかなり年配の薬剤師で、昨年薬局に転職してきたばかりらしい。
どうやら定期的に転職を繰り返しているようだ。
そして新人の自分に対して指導する事にストレスを感じており、また思い通りにならない事があるとすぐに激怒する。
常に重箱の隅をつつく様な指摘もしてくる。
正直薬剤師国家試験に合格したあの瞬間の「立派な薬剤師になろう」と言うモチベーションは今はない。
できることなら今すぐにでも薬剤師を辞めたい。
新人薬剤師はいじめの対象になりやすい
新人の薬剤師は大変です。なぜなら国家試験に通ったからと言って現場で活かせる程の薬の知識が備わっているかと言えばそうとは言えませんし、第一ストレートに薬剤師免許を取得した人もで実習を行ったのは5年次。つまり1年以上は実践経験の間隔が空いている事になります。
すると現場に出る頃は薬関係の基礎的な知識は備わっているだけの「素人」である事に違いありません。
では現場で必要な知識をひとつひとつ学んでいく必要がありますが、それに費やす勉強も一苦労。大学で習った一般名を商品名へシフトする作業だったり、薬局内のハウスルールの様なものも学ぶ必要が出てきます。もちろんそれ以外にも服薬指導をするのであれば指導できるだけの薬に関する知識なども学ばなければなりません。
また一番下の立場であるうちは職場内の雰囲気においても気を遣う必要性が出てきますし社会人として、そして一人の薬剤師として大変な労力を消費するでしょう。
するとあなたの言動はキャリアのある先輩薬剤師から見ると気に食わないと思われてしまう部分も当然出てきます。
「まだ入ったばっかりなんだから仕方がないだろう」とあなたは思うかもしれませんが、それを考慮しない薬剤師がいるのも事実です。またとにかく誰でもいいからいじめる習慣がついている先輩薬剤師も存在します。まだ仕事が完璧にできない新人薬剤師は突こうと思えばいくらでも突くことができる立場であるため格好の餌食にされる事も少なくありません。
つまりあなたは新人薬剤師であると言う理由だけで無条件にいじめの対象になりやすいんです。
すると職場の雰囲気に関しては個人のやる気でも限界があり先輩薬剤師との関係がこじれてしまったならばどうしようもありません。それに業務上の事に関して指導してくれないならばまだしも、中にはあなたが受けているように人格否定やいじめの様な事も起きる場合があります。
そうなってくるとあなたがその状況ならばせっかく薬剤師国家試験に合格して、晴れて目標としていた薬剤師になれても気持ち的に前向きなビジョンを見いだせなくなってしまうのも自然な事だと思います。
イジメられてもあなたの薬剤師としての価値は低くない
あなたはきっと思うはずです。「今の自分は大したスキルもない。知識も新人と変わらない。先輩薬剤師にも嫌われてもう薬剤師辞めたい」と。しかしあなたの薬剤師市場での価値はすぐに先輩薬剤師よりも上になります。それはなぜか。
理由はあなたの方が将来性が高いからです。
おそらく年配薬剤師は薬剤師の仕事を一通り把握していると思いますが、実際に薬局の収入の要となる「処方箋をさばく枚数」で言えば、3年目の薬剤師と1年目の薬剤師に差があるかと言われればそこまで差はありません。しかし年収で言えばおそらく数十万以上、下手をすれ百万円以上は高い給料を支払っているはずです。
実際に服薬指導の内容が年配の薬剤師の方がかなりきめ細かな指導をしていたとしても(しないとしても)、薬局として患者から得られる金額は同じです。しかし会社としては年齢に応じてそれなりの給料を支払う必要が出てきます。
もし仮に1年目の薬剤師が一通りの仕事をきちんとこなせていれば、年配の薬剤師よりも安い給料で済み、なお且つ将来性も高いです。これからの事を考えると先輩薬剤師よりも早く仕事を覚えた新人薬剤師の方が市場的な価値が高いのは一目瞭然でしょう。
イジメられているから自分は価値のない薬剤師と考えるのは完全に間違っています。
しかし市場価値があなたの方が高かったとしてもあなたがどうにかしたいのは「今」ですよね。
ですからあなたが今やるべきことは先輩薬剤師のいびりに耐えると同時に
将来の自分の為にその先輩薬剤師を最大限利用しましょう。
従順なふりをして吸収できるものを全て吸収してみてください。
辞める事は簡単ですが、どうせならば転んでもただは起きぬ精神で臨みましょう。
あなたは先輩薬剤師が嫌いなはずです。少なくとも分かり合える事はないでしょう。
ただし薬剤師としてのスキルは得るものがたくさんあるはずです。
ここでは嫌いなことをいったん置いておいて、自分の糧として最大限利用してやりましょう。
いじめらている薬剤師はいじめを理由に退職してもいい
いじめのある職場を選んでいるのはあなた自身
現在いじめを受けている薬剤師はなるべく早いうちに転職した方が良いです。上でも言った通り、先輩薬剤師の薬剤師としてのスキルを本気で盗んで1~2カ月したら辞める方が賢明です。
もちろんあなたのスキルが上がってくると重箱の隅をつつく様な嫌がらせやあからさまないじめは減って来る可能性もあります。しかしそれは可能性の話しであるためあなたが永遠にいじめられる可能性も十分に考えられます。
ただ社会人にもなってあなたをいじめる様な職場ははっきり言ってどうしようもない職場であることは間違いありません。
あなたは「いじめのない職場」と「いじめのある職場」どちらの方がいいかと質問されたら、迷わずいじめのない職場を選びますよね。きっと99%の薬剤師がいじめのない職場を選ぶと思います。しかし今のあなたは自ら「いじめのある職場」を選んでしまっている状態です。
つまりいじめが継続してしまうのもあなたがそれを選択しているからと言ってもいいでしょう。
調剤経験がほぼゼロでも転職可能
ただあなたは全てにおいて自信を失っているのは分かります。
「自分はまだ薬剤師としてスキルのない人間」「こんなすぐ辞めたら薬剤師としていけない」「仮に転職しても調剤経験がほぼゼロである」と自分を追い込んでしまっているのではありませんか?
でもこれらの考えは完全に間違っています。あなたはこれからいくらでも成長する可能性があります。今だけを切り取ってみると自分は価値がない薬剤師だと感じてしまうかもしれませんがそれは偏った見方でしかありませんし、これからあなたはいくらでも薬剤師として学び成長してく段階です。
仮に調剤経験がほぼゼロでも無数の転職先が転がっています。転職できない事など絶対にありません。それよりもあなたがこのまま自信を失って、薬剤師としての人生に自信を失ってしまう方がはるかに問題です。
転職先の面接でいじめらている事は言わなくてもOK
ただ転職するとしてもやっぱり不安は付き物ですよね。特に転職先で辞めた理由を聞かれた場合にいじめている事を言いたくない人もいると思います。
ではこの場合どうすればいいのかと言いますといじめられていたことなど言う必要はありません。適当に「体調を崩してしまった」「家族が病気をして一時的な看病が必要になった」等とそれ以上話題を広げられない様なことを告げれば問題ありません。
いじめられていた事を面接で告げても何一つメリットはありません。もしその転職先にいじめるような薬剤師がいたとしても、面接を行う人は「うちに来てもいじめられるから辞めた方が良いよ」等とは絶対に言いません。つまりいじめられている理由を告げる意味がないんです。
ですからあなたはいじめられている理由は告げず、そしてこれから精一杯頑張ることを伝えてみてください。また同時にあなたが転職を考える際には再びいじめられないで済むような職場を探す必要がありますので、ぜひこちらも参考にしてみてください。
そして繰り返しになりますが絶対に転職できない事はありません。あなた自身を守るために1日でも早く転職するようにしましょう。