薬剤師国家試験に合格してこれから薬剤師として働く新卒薬剤師の人はきっと多くの不安を抱えていると思います。
薬剤師としてやっていけるのだろうか
職場の人にイジメられたらどうしよう
何が不安か分からないけどとにかく不安
不安は尽きる事はないと思います。
そこで今回はこれから薬剤師として働く人、そしてすでに薬剤師として働いている人に伝えたい事を6つにまとめました。
薬剤師として働くことに燃えている人もいれば、全く乗り気でない人もいるかと思いますが、いずれの場合でも常に心のどこかに留めて置いて欲しい事を中心に書いています。ぜひ流し読みで構いませんので読んでいただけたら幸いです。
目次
新卒薬剤師が不安をなくすために心がける6つのこと
はじめの1カ月は黙って言う事を従順に聞く
1年目の薬剤師がもっとも恐れることの1つに「職場で嫌われたらどうしよう」という不安になります。
そしてこの不安を解消するためには最初の1カ月は職場の先輩の言う事に従順に従うようにしましょう。
と言うのも新卒薬剤師が嫌われる大きな理由に「反抗的である」「言う事を聞かない」と言う事が挙げられるからです。そしてこれは入社してかなり初期に起こりうる問題です。逆にこの査定期間を乗り切れば後の生活がグッと楽になります。
もしあなたがより質の高い改善案があったとしても初めの1カ月は黙って言う事を聞くようにしましょう。時には先輩薬剤師のやり方に賛同できない場合もあるかもしれません。しかし1カ月だけ我慢してください。
他人を変えようと思ってはいけない
あなたは薬剤師として社会に出て理想と異なる事があるかもしれません。
例えば職場が薬剤師として満足な仕事をしていない場合や人として問題がある人と仕事をしなくてはいけない可能性もあります。しかしあなたが忘れてはいけないことは相手を説得して変えようと思っても、実際に変えることは不可能だという事です。
先輩薬剤師はあなたよりも長く薬剤師として働き、そして何よりあなたより長く生きています。人は簡単に変わる事はできません。ましてやあなたが変えようと思っても無駄に終わるばかりか、あなたへの攻撃にも繋がる可能性はかなり高くなります。
ですから他人を変えようと考えてはいけません。他人のことを考えずにあなた自身の事を考えましょう。
1日10分でも勉強する
薬剤師国家試験前は1日10時間以上勉強した人でも薬剤師として働き始めると次第に勉強しなくなります。あんなに勉強していたのにいつの間にか勉強を辞めてしまいます。初めの数カ月は勉強する癖が残っている人も多いですが、数カ月経つと勉強癖は無くなってしまいます。
そして一旦勉強する習慣がなくなってしまうともとに戻る事は非常に困難です。なぜなら自分で器用に薬剤師をやっていく術を身に付けてしまっているからです。
つまり勉強する必要性がなくなる程度の上辺だけの薬剤師としてのスキルが身についてしまいます。
するとあれだけ「薬剤師としてやっていけるのだろうか」と不安になっていた薬剤師もいつのまにかその不安を忘れて勉強しなくなります。
ですから1日1時間とは言いません。たった10分でも構わないので毎日勉強する癖をつけるようにしてください。たとえ時間がなくても今はスマホ1台であらゆる勉強ができる時代です。忙しいを言い訳にせず、せっかく勉強する習慣と耐性を身に付けている今から継続するようにしましょう。
1日10分勉強すると1年で3650分です。これは約60時間に相当します。これを10年継続すると600時間です。この600時間で得られる知識は膨大な量になります。
どんな薬剤師になりたいかを考えない
あなたが薬剤師として働く時にどんな薬剤師になりたいかと考える必要はありません。
例えば「患者に信頼される薬剤師になる」「薬の知識ではだれにも負けない薬の専門家になる」と言う目標を立てる人もいますが、はっきり言って不要です。
もちろん目標を持つことは悪い事ではありません。むしろ明確な目標をもって突き進むことはあなたに取っての活力になることでしょう。
しかしこれは「今年の抱負」の様なもので、いつの間にか目標を忘れその時々で自分の目標は変わっていくものです。目標や理想は変わって当たり前。何も見えていない時からあなたの今後数十年の薬剤師としての理想を固定する必要などありません。
ですから目標を持つならば薬剤師人生としての漠然とした目標よりも、常に目標を短期間で見つけてアップデートする目先の目標を次々と打ち立てるようにしましょう。
辞めることは大した問題ではない
9割以上の薬剤師が絶対に考えることがあります。
それは今の職場を辞めたいという悩みです。
しかしその中の大半の人がなぜか辞める選択肢を取りません。たとえあなたが人格否定をされようが、サービス残業が横行してようが、薬局が違法なことを犯していたとしても辞める事ができません。
これらを客観的に見ると「どう考えてもおかしい」と思えますが、これがいざ当事者であって渦中にある状況であるならば冷静な判断ができない人が圧倒的に多いです。すると自分の限界のラインを超えてしまい、せっかくこれからの薬剤師人生が真っ暗なものになる可能性もあります。「自分は薬剤師に向ていない」とすら考えていまうかもしれません。
ですから新卒薬剤師の人はいつでも辞めていいし、それを逃げと思う必要はありません。このことを絶対に忘れないでください。
薬剤師は辞めるタイミングも自由。どこで働くのも自由。1年目で辞めても薬剤師としての職がないことは100%ありません。世間体を気にする必要なども1ミリもありません。
上では1カ月は我慢して従順に仕事をしましょうと言いましたが、もし限界ならば1カ月で辞めてもOKです。理不尽な職場で我慢して精神が病むまで働くよりは断然マシです。たった1カ月でも一生引きずるには充分なダメージを負ってしまうこともあります。
薬剤師として働く必要はゼロ
勘違いする人も多いですが、薬剤師と言う職業はあなたが生きていく上で星の数ほどある仕事の1つでしかありません。
今は頑張って薬剤師国家試験に合格したばかりなので薬剤師として働く以外の選択肢を考えられない人がほとんどだと思いますが、あなたの人生において働き方を薬剤師に限定する必要などありません。
もし薬剤師として働いている途中であっても「どう考えても自分は薬剤師に向いていない」と考えたり、他にやりたい事がある場合はそちらを重視してもいいんです。
しかしそう言うともし薬剤師に復帰する際に「ブランクがあったらマズいんじゃないの?」と言われますが、こちらは一切心配する必要はありません。
理由はあなたが適切な職場に復帰することができればこれらの問題が一瞬で解決する事ができるからです。
具体的に「適正な職場」とはあなたを本当に心から必要とする職場に復帰すればいいんです。その肝心なあなたを本当に必要とする職場の探し方はこちらで詳しく紹介していますので、その時が来た場合はぜひ参考にしてみてください。
これから働く薬剤師の心に留めておいて欲しいこと
薬剤師にとって1年目は貴重な1年です。良いも悪いも1年目が与える影響は大きいです。
そして言うまでもありませんが環境はその一番大きな要素になります。運良く素晴らしい環境に恵まれたのであれば、その職場で存分に薬剤師として活躍してください。
しかし問題なのは環境が最悪だった場合です。パワハラ、セクハラ、ブラック企業、薬剤師としてのモラルの問題、これらの問題があなたにやってくる可能性は決して低くありません。
ただ、そんなあなたにぜひ伝えたいことは真面目になり過ぎる必要はないということです。
比較的薬剤師は真面目な人が多いですが嫌なことからは「逃げる」ではなく「向き合う必要がない」と考えましょう。
あなたはもう薬学生ではありませんので、あなたは自分で自分の働く仕事を選ぶ権利があります。この権利を最大限活用しましょう。
そして無駄なエネルギーは消費せずに、自分が本当にやりたいことに注力してみてください。
そしてもう1つ覚えていて欲しいことがあります。
それはどんな薬剤師になりたいのか?という事よりも、薬剤師と言う仕事を通してどんな人間になりたいかを考えてほしいです。
薬剤師として働くことを単に仕事だと割り切る人も多いですが、仕事で形成される人間性は仕事以外でも大きな影響を与えます。
例えば薬剤師として周りのスタッフや患者に対して思いやる気持ちがある人は実社会においてもそれがそのまま生きるでしょう。一方で他人の気持ちを汲むことなく傍若無人にふるまう習慣が仕事で身についている人はいつの間にかそれがあなた自身の人格とし反映してしまいます。
もしあなたが立派な薬剤師を目指して日々勉強し、その結果周りの誰にも負けないであろう知識量を得たとしましょう。
しかしその知識を武器に、周りの人に対して鉄壁な理論武装で論破し続けたとすると、それで世の中はうまく回るどころかむしろあなたの味方は確実に減っていってしまいます。
ですからあなたが重視すべきは薬を介した人としての在り方を考えて生きる様にしてください。
残念ながら仕事とその他を完全に切り分けることは不可能です。そして他人の気持ちを考える想像力を持つことは一人の人格としてこれ以上に大切なことはありません。