薬剤師の中には「薬剤師なのに年収低すぎ!?」と不安になる人もいると思います。
そもそも薬剤師の年収格差は「需要と供給のゆがみ」で生じることが多く、また一口に「需要と供給」と言っても働く場所・地域差・求められるスキル・企業将来性など様々であり、また誰と比較するかによっても自分の年収が低いか高いか感じる印象が異なります。
しかしはっきり言って薬剤師が自分の年収が低いからと不安になっても意味はありません。
そこで今回は薬剤師が年収が低いと感じてしまう瞬間と年収を比べても何の意味もなく、ただ不幸になるだけということについて触れていきたいと思います。ぜひ参考にしてみてください。
目次
薬剤師の年収が低いと感じてしまう瞬間
病院薬剤師だから年収が低い
薬剤師の年収に関してのサイトにはほぼ例外なく「病院薬剤師の年収は低い」と書かれています。しかしそんなことは言われなくてもわかっていますよね。
安定した定期昇給と退職金が期待できる公務員薬剤師以外で満足のいく年収を貰っている20~40代薬剤師はかなり少ないと思います。
ただはっきり言って病院薬剤師とその他の薬剤師の年収を分けて考えても意味はありません。世間から見れば同じ薬剤師なんですから。
もちろん同じ病院薬剤師の中でも年収を比較したい気持ちはわかります。私も学生の時に唯一あった25万円の病院薬剤師の求人を見て「病院なのに高い!!」と本気で就職しようと思っていました。
ただそれは今思えばどんぐりの背比べでした。薬剤師として働いて年収が300万円台である一方で年収600万円の薬剤師がいる現実には変わりありません。
年収600万円でも安いと感じる時もある
薬剤師の年収600万円は決して低い給料ではありませんが、他に年収800万円・900万円を貰っている人もいると聞くと不安にかられる事もあると思います。また将来の給料の伸び率はある程度予測が付きますので、例えば結婚して子供ができて家族か増え、養うべき人数が増えた時に生活費や学費や諸々を考えて「年収600万円では足りない」と感じる人も多いでしょう。
この場合は相対的に年収が低いというよりは絶対的に低いと感じる場合になります。
転職したのに年収が低い
本来ならば転職する前の段階で給料は分かっていたはずなので、もし年収の低さを嘆くのであえれば単純に転職の失敗と言うよりも自己責任でしょう。
ただ転職する際に年収を見ない人はいないと思いますので、きっとあなたは転職先に感じている不満はきっと給料だけではないと思います。
勤務歴10年目の薬剤師だけど昇給は雀の涙
このご時世、大手調剤薬局やドラッグストアのモデル年収を知ることはそこまで難しくありません。すると「今は年収は低いけど自分はこの企業に一生を捧げるつもりだ」と考えて将来を見越している人はいいかもしれませんが、そうでない人は将来の自分のおおよその年収の限界を知ることになると思います。
もちろん薬剤師になりたての20代はとりあえず目の前の仕事をやることで精一杯の人もいるでしょう。ただそれ以外で自分の年収が低いと嘆いている場合の原因は今の職場で働き続けるあなたにあります。
奨学金の返済が数百万円残っている
薬学生の時に選ぶ職場といざ薬剤師になって給料を貰ってからでは現実の認識に違いが生じる場合があります。端的に言えば「奨学金の返済で自由に使えるお金が少ない」「これから数年、数十年奨学金の返済があるのか」と絶望するいうことです。
実際に働き始めて手に取る収入を見た時、自分の年収の低さとこれから何年も奨学金を返済することへの不安を感じる薬剤師も多いのではないでしょうか。
年収が低すぎる薬剤師が比較すべき本当の相手
薬剤師と一般企業の年収を比べても無意味
薬剤師の年収は一般企業の大卒サラリーマンの年収は薬剤師の年収と比べて高いですが正直何の意味もない比較です。
なぜならこれから浮き沈みがある色んな業種をまとめた「一般企業の平均」と「現時点のあなた(薬剤師)の年収」を比べてもそれは将来の安定には役に立たない指標だからです。
それに業種の浮き沈みに関して言えば薬剤師は「沈む方」と言っても過言ではありませんので、今の年収が一般企業の平均よりも上であっても全く安心はできないはずです。
そしてそもそも全ての世の中のサラリーマンと比較して年収が高いか低いかなんてあまり意味がない事だと思いませんか?
学費1つとっても薬学部は私立ならば年間200万円かけて6年も通っているわけで、奨学金の返済がある学生の場合はスタートからすでにマイナスです。
もしあなたが今後薬剤師以外の働き方をするならば別ですがきっと薬剤師を続けることになると思います。それならば非薬剤師の年収の多寡は意味がないもので、そこに安堵するなら害でしかありません。
薬剤師が年収を比べる相手は将来の自分
薬剤師が年収を比べるべきものは以下になります。
・将来の自分の予測年収
・地域の薬剤師の年収の相場
・今の職場環境
まず「将来の自分の予測年収」ですがこちらはおおよそ想像が付くと思います。
自分の年収を5年後、10年後シュミレーションしてみてましょう。もちろん5年も10年も経てばあなたの私生活の環境も会社の環境も変わっている事と思いますが、仮に想定した将来の年収に納得がいかないのであればその段階で転職なり交渉なりを行えばいいと思います。
そしてその際に重要な目安になるのが地域の薬剤師の年収の相場です。
半径数キロの薬剤師求人の相場を知ることはあなたの薬剤師としての価格が適正か否かが分かります。それに結局働ける場所は自分の住んでいる地域から半径数キロになると思いますので、極論を言えば東京の薬剤師が北海道の薬剤師の年収と比較しても現実的ではありません。ですから薬剤師転職サイト等を利用して地域の相場と比較しましょう。
そして最後にとても大切な事が今のあなたの職場環境です。
そもそも自分の職場に不満を持つのは給料だけが原因でないことがほとんどです。仮に給料が周りと比べて低かったとしても1日1日に満足のいく仕事ができていれば高い給料に憧れることはあっても焦ったり不安を感じたりすることはありません。
「手当の出ない残業。働かない上司、休日出勤、話が合わない同僚」
様々な要素が重なった上で「割にあわない給料」だと決めているのではないでしょうか。
これはつまり給料だけが問題なのではなくトータルであなたは今の職場に不満を持っているということです。
すると結局将来のあなたの年収や地域の年収や環境を含めた「今の自分」と「将来の自分の予測」を考える必要があるんです。
薬剤師の年収が低くて不幸になる本当の理由
基本的に多くの薬剤師は年収が低い理由だけで転職することは少ないです。あくまでも年収が低いのはおまけみたいなもので、一番の理由は職場の人間関係や自分のやりたい事との相違が原因です。それに他の薬剤師と比較して自分の年収が低すぎると不安になっても、転職するまでの原動力になることもありません。
つまり薬剤師の年収の低さというのは働く上でとても重要な事ではあるんですが、それだけで環境を変えるまでの影響があるかと言えばそうでなく、むしろ今の生活に不自由さを感じていないならば他の人と年収を比べて一喜一憂するだけ無駄だと言う事です。
自分にとって適正な年収なのか否かは自分が一番分かっているはずです。そのうえで給料が低く職場の環境も悪いならば不満を言わずに辞めればよく、また環境がよくても結婚や出産を機により高年収を求めたいのであれば転職すればいいだけです。
はっきり言って大して不満もないのに他人と比べて劣等感を感じる事は無駄以外の何者でもありません。
生きていく上でお金は重要ですが必要ないのに周りと比べても意味がありません。本当に必要な時に行動すればいいだけであり、それ以上にあなたの薬剤師としての毎日の生活を大切にすべきです。
そもそも年収が低い薬剤師が本気で悩んでいるならばそれを解決するのはすごく簡単です。年収が高い職場に転職すればいいだけなんですから。こんな簡単な話はありません。募集要項を読んで転職するだけです。転職する以外に劇的な改善法はありませんので転職するべきでしょう。
それに今の職場環境が悪くおまけに年収が低い薬剤師の場合は逆にラッキーと思った方がいいです。後ろ髪を引かれるものがないんですから喜んで転職しましょう。
逆に大変なのが「年収が800万円貰っているので転職できない」と毎日が憂鬱になって仕事に行く人。こちらの悩みは簡単には解決しません。なぜなら給料がいいため辞める説得が難しいからです。
本業が充実している人にとっては今の仕事を大切にして、自己研鑽を行っていくことも同じくらい大切だと思います。それに今の時代、年収が低ければ副業をしたりアルバイトをして収入を補うことも可能です。
※もし転職まで考えないという人はこちらも参考にしてみてください。
しかしどれだけ他人と比べても意味がないと言っても比べてしまうのが年収などの体裁だと思います。そんな人はいっそのこと突き抜けて年収を一度追及してみてはいかがでしょうか。少なくとも年収の悩みに関しては解決できます。
このリンクの記事には「楽で年収が高い薬剤師の職場の見つけ方」が書かれていますが、無理に楽な職場を求めないという人にとっても非常に役立つ内容になっていますので、今の薬剤師の年収に不満な人はぜひ参考にしてみてください。
一方で20代薬剤師の中には転職を「使用回数に限度があるカード」だと思ってなかなか切らない人がいます。年収に不満を言いながらもずるずる辞めれないタイプです。
確かにむやみやたらにこのカードを使うことは歓迎すべきことではありませんが、カードは使える時に適切に使わないと1回も使っていないのに限度に達してしまう可能性があります。つまり自分の思い通りの転職ができない時がやってきてしまうということです。
そもそも理不尽さを我慢してもいいことは何一つありませんし、年収は我慢の対価で増える訳でもありませんので、過度に我慢するくらいならばさっさと転職しましょう。